ゲイ術手帖其の壱拾

「キャプテン翼」(後編)


 実はわたし、やおいにかこつけてキャプつばのことを語りたかっただけなのでは? と思わなくもないですが、兎にも角にも、キャプつばが単なるサッカー漫画ではない、ということはお分かりいただけたかと存じます。左様、やおいの世界では、大空翼も岬太郎も日向小次郎も、みーんなホモ……ってのはちょっと云いすぎですが、登場人物の誰それと誰ソレがカップルであるというのが前提です。そう思って原作を読むと、何やらむらむらと妄想が沸き上がってきますね(?)。聖闘士星矢もそうですけど、やはり戦う男(成人男子ではなくあくまで少年)は美しい。そして彼らの紡ぐストーリーは、女子の入る隙がない故に、女子の妄想の温床となるのです。

 さて、何しろ登場人物の多い漫画ですので、翼×岬とか、翼×三杉とか、いくらでもカップルは成立するのですが、やはり人気の高い組み合わせというのはありまして、栄えあるベストカップル賞、最も多いのが、日向小次郎×若島津健(※厳密には名前の前後でどっちが攻めでどっちが受けか、というのが決まっているようですが、ここでは順不同)です。高河ゆん、尾崎南といったアニパロ界の大御所がいずれもこのカップルで描いていたことを考えると、やはり他のキャラよりもより強いやおい的魅力があるのでしょう。かく云うわたしも、キャプつばの中で誰が一番好きかと問われると、日向小次郎なのです。小学生の頃は、ふらののキャプテン松山くんとご存知南葛の岬くんという、サワヤカさを絵に描いたようなキャラが好きで、小次郎なんて南葛の宿敵だし、生意気だし、我侭そうだし、色が黒くて何か汗クサそう……etcの理由で眼中にもありませんでした。しかし、ちょっと大人になってから再び読み返すと、あの獣のような強さとストレートさ、そして孤高さに、とても純粋な"男"を感じてしまったのですねえ。大体、家が貧乏だから小学生なのにバイトして家計を助けていたり、翼くんに勝つために荒れ狂う沖縄の海に向かってシュート練習したり、やってることがとにかくムチャクチャなのが素晴らしい(笑)。《ワールドユース編》では確か18歳になっている筈ですが、必殺雷獣シュート(すげえネーミングだなしかし)を編み出すために一人で山篭りトレーニングをしたりして、相変わらず素敵な男っぷりでした。

 一方の若島津健は、有名な空手道場の三男坊であり、明和(後に東邦学園)のGKです。長髪でクールビューティーな彼は小次郎と同級生ですが、彼のことを「キャプテン!」と呼び、敬語で話します。若島津にとって小次郎は同志でありながら絶対的存在でもあるのですね。ああ、こういうのってとってもやおい的。昔は、孤高の人である小次郎が若島津に犯されるなんてどうかしてるよー! と断固として認めたくなかったのですが、大人になるにつれ、このカップルの宿命性(?)を感じるようになりました。でもやっぱり尾崎南の健×小次エッチシーンはやりすぎだ(これはマジで凄い!失神します)。

 最近また続編が連載されているようですが(一体あの人たちはいくつになったのかしら?)、いつまでも想像、いや妄想の余地を残しておいていただきたいものです。すなわち、小次郎に赤嶺真紀などというカノジョが出来てしまってはゼッタイにいかんのだ!!!(※ワールドユース編を参照)翼くんはあねごとさっさと結婚すりゃいいけど。


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