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++旅先恋愛その七〜野ぎくちゃんと、旅先の王子様(前編)〜++
よもや、このページを更新することもないと思っていたが…色んなことにケリをつける意味で、図らずも、しかしひっそり(しかしちゃっかり)と書くことにした。
端的に云うと、これは失恋の埋葬である。
本当なら、もっと前にやっておきたかったが、時間が洗い流してくれるだろう…とタカをくくっていた。
実際、そんなことはなかったことに…はならないまでも、その人と今さらどうこうしたいとも思っていなかった。

……つもりだった。

そうしたら、思わぬところからカウンターパンチを喰らい、これまで抑えていたらしい(自分でそのつもりはないのだが)醜悪な感情が一気に噴出して、自らが作り出した泥沼に足をすくわれそうになっている。
失恋したての時の方がまだマシなくらいで、そういう意味では、1回の恋で2回失恋という(?)無駄な負担を背負ったことになる。
それは、失恋をきちんと埋葬できなかったからではないか?あの時、もっとしっかり気持ちを処理していれば、今さら傷がうずくこともなかったのではないか?
もう二度とそのことで心を煩わされないために…恥さらしとは思いつつ、こんな駄文をしたためるしだいである。

ちなみにこれまで、このシリーズで、特定の誰かについて書くことはなかった。
それは、第一に相手に迷惑がかかるのを恐れ(正確には、それで相手にキレられるのがイヤで)てのことであったが、今回は、「旅先恋愛」ラストということで…縁が切れるのを覚悟で書かせていただきます。
もし“王子様”がここを読んだら、ごめんなさいね。
でもま、こんなのあくまでもネット上の創作物。どこからどこまでが本当かなんて、わたしにしか分かんないですから。

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わたしがその人と出会ったのは、○○の××という町で…なんて書くわけにはいかないけれど。
とにかく、旅先のとある場所で、わたしはその人に初めて会った。
ごく平均的なルックスのやさしそうな男性。初対面の時は、正直それだけの印象だった。
さらに正直に書くと、最初の出会い時分に話したりご飯を食べた感じからすると、その人はわたしに何かしらの好意を持っているように思われた。オマエは単に自意識過剰なのではないか?と云うよりただの妄想なのではないか?と今、ツッコミを入れたくなった方も多々いらっしゃるだろうが、いや、ホントにそうだったんだって(笑)。

その好意のせいかどうか…わたしは間もなくその人のことが気にかかり始めた。気にかかっただけならよかったのだが、不覚にも心ときめいてしまった。
しかし、そのときめきに気づいた頃には、その人はもう、遠く離れた違う町にいた。

もう一度会いたいと思った。
ときめきがただのときめきではなくその人のことが好きなのか、そしてその人もわたしを好きなのか…確かめたくなった。
さいわい、その人とは近い将来ルートが重なりそうだったので、ごく自然なかたちでの再会に成功した(笑)。

前者については、ん〜もう明らかにYESだった(苦笑)。
いろいろな話をし、一緒にいればいるほど、完璧な人だと思えた。完璧というか、人としての総合力がすごく高い。例えば知力、体力、人間力、ルックス、色気、将来性、過去の実績(?)…といった要素でグラフを作ったら、かなり美しい多角形が描けるだろう(まあぶっちゃけ、ルックスに関してはそこまで好みでもなかったけど…って、負け惜しみくさいか?)。
きっと、大きな挫折もなく、すくすくと育って来たのだろう…と思わせるような、のびやかで、健全で、いい意味での普通さを持っている人。彼の持っている半分以上のものが、わたしにはないものだった。と同時に、彼の持っている残りの要素は、わたしにとって至極親和性のあるもので、話していて「ああ、そうそう、そうなんだよね〜」と思うことがたくさんあった。ちょっとした言葉が、いちいちわたしのツボをついてきた。
最初の出会いの頃を思うと、完全に立場が逆転というか、まんまとハマってしまった自分が、かなり情けないが…。

しかし後者については…YESともNOともつかなかった。
予想どおりに状況が進展しないことに焦りを感じ(旅先は時間があるようでないからねえ)、苦しさのあまり夜中にわんわん泣いたり、当時仲のよかった別の旅人に泣きついたこともあった(←泣きすぎ)。今思えばここで進展しなかった時点で、この恋愛に見込みはなかったと云えるだろう。そう判断しておけば、今こんなしょーもない文章を書いていることもなかった(苦笑)。
でも、その人のYESともNOとも取れない言動&行動に、恋愛下手なわたしは、つい薄い期待をかけてしまった。たとえば別れ際に、彼が何気なくくれたものとかに、「そうは云っても好意はあるのかも…」なんて…あー顔から灼熱の炎が出そうだぜ。

結局、わたしの執着はいよいよ増し、その後はルートの画策(笑)によってまた会うことが出来たのだが(国際派ストーカーと呼んで下さい☆)、会ったところで、何が起こるわけでもなかった。
思わせぶりな、と云うとその人は心外に思うかも知れないが、わたしにすれば思わせぶりな言葉や態度に、いちいち光明を見出すものの、肝心な進展には至らない。
それに…最初の頃は弾んでいたと思っていた会話も、実はそうでもないんじゃないか?彼は別に、わたしと話していても楽しくないのではないか?と思い始めてもいた。
お互いを知ることで、わたしはよりその人に惹かれていったが、逆にその人はわたしに引いていったフシがある。おそらく最初の印象がよかっただけに、知れば知るほどわたしの性根の悪さに辟易してしまったに違いない。
旅先では普通、3割増のマジックがかかるものであるが…わたしには(というか、彼には)かからんかったらしい。

それでも…それでもわたしは、そういう薄っすらとした気づきをあえて無視していた。
もちろん、あくまでも友達ヅラして接してはいたものの、毎日のようにご飯に誘うなど、けっこう迷惑な女になっていたと思う。それを分かっていながらやめられないところが、恋する者の愚かしさである。
しかし、現実問題として自分の旅がある以上、彼といつまでもいることなぞ出来はしないし、追いかけ続けるほどの根性も財力(←どっちかって云うとこっちか)もない。

物理的にも心理的にも進退きわまったわたしは、ここが最後と決め、彼にすべてを話すことにした。
旅先らしい、ふんいきのある町だった。フラれてもそれなりにカッコつきそうだった(笑)。呼び出す場所なんかも何となく決め(『あいのり』の見すぎ)、さらに恥ずかしいことに、そこで予行演習的なものもさらっとおこなってみた。さらにさらに、口下手な自分が何を口走ってしまうか不安だったので、パソコンでラブレターの下書きをしていた(結局未完)。さらにさらにさらに、前にもらったものへのお礼にという口実で、小さな贈り物まで用意した。20代も後半の女子が、こんなにオロカモノでよいのであろうか…。

ところが、旅先とは何が起こるか分からないもので、そこまで考えて呼び出そうと思ったその晩、彼は別の町にお出かけしていたんだね(涙)。
思いを打ち明けるどころか、さよならすら云えないという予想外の事態に、わたしは自分を呪った。
しかも、ようやく彼に会えた時、彼は何故かとても不機嫌だった。わたしはとりつく島もなく、まずはそれをなだめることに専念した。何たるピエロぶりであろーか…。
そのうち彼はいつもの穏やかな彼に戻り、バカ話などに興じていたが、わたしはすっかり、告白のタイミングを逃してしまっていた。朝方まで話し込んでいたというのに…(贈り物はかろうじて渡せたが)。

さらに云うなら、その翌朝、わたしはその町を発つ予定だったのが、何となく引き止められるようにしてもう1日いることになってしまった。
でも、やっぱり何も云えないまま、その日は普通に楽しく過ぎて、次の日もやっぱり、普通の旅人同士の別れのように、さわやかめに別れたのだった。

(つづく)

(2007年7月)


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