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++シロートによる旅先音楽話++
今回は、音楽の話である。
最初に断っておくと、わたしは、音楽に関してはまったくのシロートで、趣味も決していいとは云えない(好きなアーティストは?と尋ねられたら、エアロスミスとパール・ジャムを挙げるわたしである)。気に入ったらずーっとそれしか聴かない、CDを買うときも、本当に好きもしくは間違いなくイイに決まっているアーティストのものしか買わない・・・といった、きわめて保守的なリスナーである。食とか、本とか、服装とか、ほかのことに関しては、わりと冒険を試みる方なのだが、音楽だけは、どういうわけか間口が狭いのだ。
したがって、吉田夫婦んとこみたいな、充実した音楽話は出来そうにもないのであるが、ま、旅先で聴いて気に入った音楽についての他愛もない小噺、ってことで、ひとつよろしく。

・・・・・・

旅のはじめのヨーロッパでは、CDプレーヤーを持っていなかったこともあり、音楽生活はすこぶる貧しいものであった(いや、貧しかったのは音楽だけではないが)。
何しろ、ヨーロッパ旅の中で、唯一買ったCDが、ギリシャ正教の教会音楽CDである(苦笑)。
そんな中で、強く印象に残っているのが、CREAM(エリック・クラプトン)の「WHITE ROOM」。これは、ウイーンのとある現代美術館で、ラウラ・キカウカというカナダ人女性アーティストの特別展があり、その展示作品(インスタレーション)の中で使われていた曲である。
ちなみに、この作品は、わたしがこの旅で見てきた現代アート作品ベスト5に入る。めちゃめちゃ私好みの、ポップでキッチュなセンス満載で、見ている間ずっとコーフン状態、つーかコーコツ状態に陥っていたね(笑)。
「WHITE ROOM」は、作品の中に本当にあった”WHITE ROOM”(白い部屋)で流れており、あの少し狂った感じのメロディが、作品とすこぶるマッチしていて、カッコよかったのである。その後、南アフリカのケープタウンで、CDを購入。

ギリシャのミコノス島では、どこかで耳にしたことのあるような、オーソドックスなダンスナンバーが、ガンガン流れていた。
その中で、タイトルもアーティストも分からない、お気に入りの一曲がある。
後に、チリの汐見荘でMTVが流れていたときに、偶然この曲がかかって狂喜したのだが、結局誰の何という曲なのか分からずじまいである。何となく、カイリー・ミノーグかな?と思ったけれど、最新のアルバムにその曲は入っていなかった。
ともかく、この曲を聴くと、テンションが上がって、ハッピーでポジティブなエネルギーが湧いてくる。今でも時々、このメロディが口をつくことがあって、そんなときはたいてい、機嫌のいいときなのである。

ところ変わって、中東。
中東には独自の、アラビアン・ポップスとでも云うべき音楽が、街中でかかっている。わたしはわりと、これらアラビアン・ポップスが好きで、お気に入りの曲もいくつかある。ダサいと云えばダサいのだが、ギリギリのラインでカッコよくもある・・・アラビアン・ポップスとは、そういう音楽である(ホントかよ)。
唯一カセット(CDじゃないのよね〜)を買ったのは、ハキムの「アッサラーム・アレイコム」。これは、シリアあたりからずっと探していて、エジプトでようやく入手。かなりバカバカしいノリの曲なのだが(ビデオクリップもとてもバカっぽい)、大変ポップでいい感じ。
あと2曲ほど、よく流れていて、気に入った曲があるのだけれど、リサーチ不足で入手できなかった。今でもサビの部分を口ずさめるんだけどなあ(笑)。

アラビアン・ポップスに輪をかけて独特なのが、エチオピア音楽。
エチオピアという国は、何ごとにおいても、よくも悪くも特殊性のある国で、音楽も例外ではない。
エチオピア演歌というか、エチオピアンポップスというか、とにかく、他では聴けないようなフシギな音楽が、国中の至るところで流れている。と云うより、それしか流れていないので、旅をしていれば、否が応にも耳に入ってしまう。
で、最初は「何じゃこりゃ!?」と眉をしかめていたのが、慣れというのは恐ろしいもので、気がつくとそれを鼻歌で唄っている自分がいたりするのである!つまり、知らないうちにハマってしまった、というワケだ(苦笑)。
バスの中でよく耳にしていた曲を、店で口ずさんで「これ、この曲が欲しいんだよ」と尋ね、2つほどカセット(これまたCDではない)を買った。日本に帰ってから聴くのが楽しみなような、ちょっと怖いような。

エチオピア以外のアフリカは、あまり音楽を聴いた記憶がない。多分それどころではなかったのだろう(つらい日々だったのね)。今思えば、もったいない話である。
もっと注意して聴いていれば、アフリカ独自の音楽ってのも色々あったんだろうけれど(ジンバブエのハラレとか、音楽の都って云われているくらいだし)、わたしが耳にしていたのは、ワールドワイドに流行っている曲ばかりだった気がする。NELLEYとか、よくかかってたっけね。
そんな中、これまたアフリカとは何のカンケーもなさそうだが、わたしの心にヒットしたのが「FALL IN LOVE」という曲であった。誰が歌っているのかは未だに知らないし、このタイトルにしたって、たまたまこれが流れていたレストランの兄ちゃんに聞いただけなので、確実ではない。
ただ、アフリカではよく耳にしていて、アフリカで聞いた曲というと、これを思い出す。思い出に濃く残っているのは、ケニアのラム島の食堂で一人で聴いたとき。あの切ないメロディが、妙に旅情をかきたててくれた記憶がある。そういうわけで、メロディはよく覚えているんだけど、未だに何の、誰の曲か分からず、歯噛みしている。

南米に入ってからは、それまでよりも音楽を聴く機会が増えた。やはり、ラテンの旅に音楽はかかせないのだろうか?

アルゼンチンは、やはり本場のタンゴである。
ブエノスアイレスの街を歩いていると、どこかしらでゲリラ的にタンゴのショーが行われているし、タンゴのメロディを耳にしない日はなかったと云えよう。タンゴショーもばっちり見に行った。
タンゴのメランコリックなメロディは、ブエノスアイレスの哀愁漂う街並に、この上なくよく似合うのだ。タンゴとブエノスは、切っても切れない間柄なのである。わたしも、ブエノスを思い出すときは、必ず頭の中にタンゴのメロディが、BGMとして流れている。
ぜひCDを手に入れたかったのだが、あまりに多すぎてどれを選んでいいか分からず、結局買えなかった。残念だ。

あと、これはスペインのアーティストだが、JARABE DE PALOの「BONITO」という曲が、よくかかっていた(※BONITOとは、スペイン語でビューティフルの意)。MTVか何かでビデオクリップが流れていて、「何だかバカっぽいビデオそして曲だわね」ということで、耳と記憶に留まったのである。ついでに、アルバム「BONITO」のジャケもバカっぽい。JARABEくんが、ニカっと笑った自らの口の拡大写真を、自分の口元に掲げているというジャケである(説明が下手ですまん)
でも、このバカっぽさこそが、ラテンのり!という気がして、わたしはけっこう好きなのである。

この旅中、もっともCDを買いまくったのが、ボリビアであった。
首都ラ・パスには、コピーCD屋台が、それこそ腐るほど並んでおり、値段は安い(・・・と思っていたら、後に、他の旅行者との話の中で、わたしの買っていた値段が彼の倍額であったことが判明・・・ショック)。そんなわけで、外を歩くとどうしてもCD屋が目に入ってしまい、ついつい物色してしまうのであった。
ヨーロッパで時々耳にしていた、RED HOT CHILLI PEPPERSの「By The Way」を皮切りに、EVANESCENCE、COLD PLAY、CRANBERRIES、BOB MARLEY、BLUR、MADONNA・・・と、まったく脈絡のない買い方であった。よっぽど音楽に飢えていたらしい。

ともかく、これを機に、コピーCDを買うのが旅のひとつの楽しみとなっている。日本にいた頃は、輸入版でも1800円とかする音楽CDは、よほど吟味しなければ買えなかった(それよりもお金をかけたいものが、色々あったからね)。ところが、コピーCDなら、試聴感覚でガンガン買えるのだ。この快楽(?)に目覚めたことで、今後の音楽ライフが変わるかも知れない、というくらいの出来事であった。ま、今なら日本でも、違法ダウンロードで、コピーCDどころか、タダで色々聴けてしまうんだろうけどね。

ブラジルは何と云ってもボサノヴァ!ブラジル音楽はボサノヴァ以外にも色々あり、多彩な音楽文化を誇る国なのだが、わたしにとってのブラジル音楽はボザノヴァ、これに尽きる。わたしは心が狭いのである。
旅先風信にも書いたが、リオ・デ・ジャネイロの老舗ライブハウス「VINICIUS」で、マリア・クレウザという女性ボサノヴァ歌手のライブを観て以来、それまでほとんど興味のなかったボサノヴァに、いきなり傾倒してしまった次第である。
その後、サルバドールで数枚ボサノヴァのCDを手に入れ、宿「青い家」で毎日聞いていた。またこれが、青い家のゆるくて明るい雰囲気に合っていて、ボサノヴァかけていると終始ゴキゲンであった。
リオで一目(一耳?)惚れの、マリア・クレウザおばさんのCDも購入。どうも若かりし頃のCDらしく、今ほど迫力はなかったが、これはこれで、まあ、よしとしよう。

メキシコシティのペンション・アミーゴでよくかかっていたのが、MANU CHAO。
よく、と云うか、毎日かかっていた。最初は、特に気にも留めていなかったのだが、宿の長期滞在者が全員MANU CHAO好きで(だから毎日かかっていたのね)、薦められるがままにCDを購入。そしていつしか、わたしもすっかりハマっていた。
ライブCD「RADIO BEMBA」のジャケットが、未開系黒人2人組で、「この2人が、MANUとCHAOだよ」と教えられ、しばらく信じていたのだが、後でライブのVCDを見たら、全くのウソっぱちで(笑)、若い白人の兄ちゃんが歌ってた。フランス系スペイン人だそうだ。
どういう音楽かを説明するのは、けっこう難しい。ほんと、どういうジャンルに属するんだろ?ま、とにかく、どの曲も、他にはないテイストでカッコいいのである。
普通のCDより、ライブCDが断然いい。ライブのVCDはかなり素晴らしく、これを見ているだけで気分が昂揚するくらいだから、ホンモノのライブに行ったら、アドレナリンが出まくって、気が狂ってしまうかも知れない(笑)。でもいっぺん見てみたいなあ〜。

そうそう、メキシコシティには、テピートと呼ばれる大規模な泥棒市があって、そこでは、ボリビアのラ・パス以上に大量のコピーCDが売られているのである。しかも、ボリビアより安い。1枚10ペソ、つまり100円である。100円だよ!!!素晴らしい。メキシコ万歳である。
ここでも数枚、CDを買ったのだが、よく聴いていたのは、前記のMANU CHAO以外に、カイリー・ミノーグの「FEVER」というアルバム。収録曲のLOVE AT FISRT SITE」および「「CAN’T GET YOU OUT OF MY HEAD」に、何故かとても聞き覚えがあって、やはりアミーゴでかかっていたので持ち主に何の曲かを尋ね、CDを買いに行った次第である。これは今でも、気分を上げたいときによく聴いている。バブルの頃に流行ったような(多分)ベタなダンスナンバーだけど、やっぱカッコいいと思う。

キューバはやっぱ、サルサの本場ってことで、サルサを聴きまくった・・・ってことはなかった。宿のお兄ちゃんに、サルサのCDを1枚もらったけれど、あんまり聴いてないな(苦笑)。
でも、それでもサルサはいい音楽だと思う。単純に、元気になれる。踊りの下手なわたしでも、くるくると踊りだしたくなる。ほんと、時間とお金があれば、サルサを習いたかったくらいだ。ただ、サルサのライブハウスなどに行くと、キューバ人たちがあまりにもダンスが上手くてセクシーなので、とてもじゃないが、あの中に入って、盆踊りみたいなへこい踊りを披露する気は起こらなくなる。彼らの腰つきは、異様です。腰という名の生き物です、あれは。

キューバ(音楽)と云えば、多くの人が「BUENA VISTA SOCIAL CLUB」を思い浮かべるであろう。
残念ながら、わたしはキューバに行ったときはおろか、今にいたるまで、かの有名な映画を観たことがないのであるが、それでもサントラCDは、キューバから帰って来たあと、手に入れた(ただし、だいぶ後だったが)。
いいよね〜、これ。キューバ、主に首都ハバナの、ギラギラした太陽と、ゆる〜い空気、ひなびた街並・・・などなどを思い出させてくれる。渋くて、でも明るくて、でもメロウな(むちゃくちゃな形容ですみません)珠玉の14曲。捨て曲は1曲もなし!すっかりお気に入りの1枚である。
大体、あのCDのジャケを見ただけで、このCDの中身、そして映画がとてもステキであろうことが想像できるよね〜。帰国したら絶対ビデオを見るぞ!ちなみに、わたしは、1曲目と2曲目が好きです。

中米でもっともよく聴いたのは、La Oreja De Van Gogh。スペイン語で、「ゴッホの(片)耳」という名前のこのバンドは、当時異様に流行っており、特に、グアテマラでは、その代表曲である「ROSAS」を耳にしない日はない、というくらい、あちこちでかかっていた。
聞くところによると、彼らは恋愛の歌しか歌わないバンドなのだそうだ。”ゴッホの耳”のエピソードを知っていると、妙に納得できる。(※ゴッホが、自分の元を去ってしまった親友のゴーギャンに、自分の切り落とした耳を送りつけたというお話です。ゴッホとゴーギャンは、”やおい”だったのです(←これはまったくの私見))

「ROSAS」はホント、身悶えするほど切ない曲で、これを聴くと、中米の旅の思い出はもちろん、これまでの旅に散りばめられた、多くの出会いと別れを想い出さずにはいられなくなる。まさに、胸が締めつけられるような曲である。
アルバム(邦題は「君が寝ている間に話しかけたこと」とか何とかいうらしいが、原題が分からん。何せ持っているのがコピーCDなんで)も実に素晴らしい。捨て曲というものがなく、頭から通して聴ける。わたしは、2曲目から4曲目の「ROSAS」にかけてが、特に好きだ。それにしても、ボーカルのアマイア嬢は、何というそそる声をしているのだろう。甘くて切なくて、ああ〜、しびれるなあ〜(←オッサンかお前は)。

アメリカでは、ブリトニー・スピアーズの新曲(当時)「TOXIC」が、頭の中でよく回っていた。
パナマの高級ホテル「エル・パナマ」滞在中、何となくつけていたMTVで初めて聴いて、お、けっこうカッコいいじゃんと思っていたら、アメリカ行きの飛行機の機内放送でもかかっていて、すっかりメロディに馴染んでしまった。
この曲を聴くと、妙にテンションが上がる。思えば、アメリカのイミグレとの戦い(?)に勝った(?)のも、この曲で気分が上がっていたからかも知れない(ホントかよ)。
この、いかにもアメリカ的な曲を、いかにもアメリカ的なスターであるブリトニーが歌っているってのが、何だかいいじゃないですか。
アメリカにいた当時は、CDは持っていなかった(後にトルコでコピーCDを購入)ので、タワレコやヴァージンの視聴コーナーでよく聴いていた。貧しいな(笑)。

アメリカ以降のお話は、次回。

(2004年8月)


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