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++行かなかった、あの場所のこと++
「心と同じように、体が動いたなら、僕たちは何処へでも行ける。」

先日、パキスタン北部の見どころ、チトラール&カラッシュバレー、シャンドール峠を、己の怠慢によって断念した結果、戒厳令の発令された町に折り悪く突入し、ホテルで軟禁状態になったりしているうちに約10日間をムダにしたという手痛い経験をした。その10日があれば、十分、先述のコースを辿れたはずだったのである。
・・・このことがきっかけで、わたしは、これまでの旅をあれこれ見直すことになった。
自分では、けっこう精力的に動いている旅人だと思っているが、実はそうではないのではないか。
あの時もうちょっと頑張っていれば、情報を集めていれば、或いははした金をケチらなければ、あの場所に行けたのに・・・と今でも後悔に苛まれることがある。
「そんだけ色々行けたら充分じゃん!」と、忙しい社会人の皆さんには叱責されそうな言い草だが、何しろこの旅に人生を賭けている(笑)わたしとしては、1つの後悔だって残したくはないのである。

往年の大女優、イングリット・バーグマンも云ったように、「やってきたことには全く後悔していない。後悔があるとしたら、それは、やらなかったことに対してだけ。」まさにその心境で、これを書いている。
今回のむだ話は、自分の中でくすぶり続ける後悔の火種を、少しでも弔ってやりたいという思いから書き綴ったものである。だったら今日からは、後悔のないように、身体に鞭打ってでも動けばいいのだけれど、いざその時になると、怠惰や疲れの方が勝ってしまったりするんだよなぁ・・・ま、それが今を生きるってことなんですね、きっと(?)。

○○●ヨーロッパ編●○○

ヨーロッパは、旅の初めだったこともあり、かなりせかせか動いていたのと、何と云っても出費が大きいので、あきらめた場所が多かった。

以下、星の数は、
☆☆☆→行こうと思えばヨユーで(?)行けたのに、己の怠慢、情報不足などであきらめた場所
☆☆→ルートを変更すれば、或いは事前に情報があれば、或いは金の余裕があれば行けたかも知れない場所
☆→時間やルートの問題で、もともと行くのが困難だった場所
という基準で点けている。要するに、星の数が多いほど、後悔度も高いというワケだ。

ダッハウ強制収容所(ドイツ)☆☆☆

・・・ナチスが最初に作った強制収容所で、ミュンヘン近郊にある。好きなゲイ映画のひとつ『ベント〜堕ちた饗宴〜』の舞台でもあり、思い入れもそれなりにあったのだが、最寄り駅に到着したのが、閉館時間の10分くらい前で、泣く泣くあきらめた。

ハイデルベルグ&ローテンブルグ、ベルリン(ドイツ)☆

・・・ドイツの古都である両都市と、首都ベルリン。前2都市は、ドイツでも指折りの”中世風の美しい街並”が見られ、世界遺産にも指定されている。どちらだったか忘れたが、拷問博物館がある(プラハやクラクフにも小さいのはあるんだけどね)。ベルリンには確か、かなり大規模な博物館だか美術館があったはず。しかもベルリンは、『プリンス・イン・ヘル』というカルトゲイ映画の舞台でもある。ラブ・パレードも見たかったな。

ミュシャ博物館、ヤン・シュヴァンクマイエルのアトリエ(チェコ)☆☆☆

・・・どちらもプラハにある。前者については、情報を仕入れていなかった(つまり、存在を知らなかった)。後者は、閉館時間の15分前に行ったら、すでに閉まっていた・・・。世界一乙女チックな街・プラハには、死ぬまでにもう1度行きたい。

チェスキー・クロムスフ(チェコ)☆

・・・チェコで一番美しいと云われる町。画家エゴン・シーレの生まれた町でもあり、世界遺産に指定されている。写真で見る感じでは、いかにも乙女好みの、こじんまりした中世風の町。行った人にはおおむね好評なので、行かなかった自分が悔しい。

マイダネク強制収容所(ポーランド)☆☆

・・・収容所好きなので(冗談です)、この、ナチス最大と云われるマイダネク収容所も見てみたかった。言葉は忘れたが、有名な碑文がある。

フィンランド☆

・・・時間との兼ね合いで断念した国。時間があれば、ルート的にはばっちり通ることになっていたので、行きたかった。乙女ブランド「マリメッコ」、ムーミン谷、サンタクロース・・・などなど、乙女心をくすぐるスポットが点在する。ま、今後機会があるならば、オーロラの時期にでも行ってみたい。

ゴットランド島、アストリッド・リンドグレーンワールド(だっけ?)(スウェーデン)☆

・・・ここも時間がなくて行けなかった。あと2〜3日あれば、どちらかには行けたんだけどなあ・・・。ゴッドランド島は、『長靴下のピッピ』の舞台、「ごたごた荘」のある島。別名”バラと廃墟の島”、この魅力的なコピーだけで、行く理由は充分だ。アストリッド・リンドグレーン・ワールドは、同じく『ピッピ』の作者であるリンドグレーンの童話世界を再現したテーマパーク。

ユトレヒト(オランダ)☆☆

・・・今思えば、オランダも、アムステルダムだけでなく、もう少し色々見て回るべきだった。そのうちの1つが、ユトレヒト。ここには、『ミッフィー』の作者・ブルーナのアトリエと、現代美術館がある・・・ということを、オランダを出国する1日前(すでにベルギー行きチケット購入済)に知った。現代美術館にはブルーナの展示もあるらしい。オランダの現代美術館なんて、かなり期待できそうだよなあ・・・。何にせよ、乙女として、外してはならないスポットであった。

マルセイユ・エクス・アン・プロヴァンス・アルル、コート・ダ・ジュールなど、南仏の各都市(フランス)☆☆

・・・この辺は、金銭的な理由からあきらめた。結局行ったのは、アヴィニヨンと周辺の村(これはツアーで)だけ。ゴッホとゴーギャンの暮らしたアルル、ブイヤベースの美味しい港町マルセイユ(ここには確か、マティスの作った白い教会もあったはず)、「気狂いピエロ」の舞台(?多分)コート・ダ・ジュール地域など、今でも激しく憧れる場所ばかりだ。いつか金を持ってリベンジしたい。

バルセロナのカサ・バトリョ、ミロ博物館、ダリの家、現代美術館など(スペイン)☆☆☆

・・・ガウディ詣でで毎日精力的に観光していたバルセロナだったが、それでも見どころをけっこう外してしまった。何と云っても、ガウディ建築の傑作であり私好みの「カサ・バトリョ」を見逃したのは今でも後悔している。後で聞いた話、2002年はガウディ・イヤーで、カサ・バトリョは特別公開だったのだとか。入場料が8だか10ユーロしたので、あきらめたんだよなあ・・・外観だけでいっか、と自分を納得させて・・・あーあ。ダリの家は、バルセロナから電車で1時間だか2時間だか(かなり曖昧)のところにある。アクセスがどうにも億劫で、断念。

ポルトなど(ポルトガル)☆☆

・・・首都リスボン、シントラ、ロカ岬と、見たいところは一応押さえたポルトガルだったが、たった3日の滞在で、美味しくて安いと評判のポルトガル料理も堪能せずに去ってしまった。ポルトは、ポルトガル北部の町。タイルの町並が世界遺産になっている。確か、リスボンから遠いので止めたのだった・・・。

シチリア島のタオルミーナ、アグリジェントなど(イタリア)☆☆

・・・ここは、アクセスが少々大変(に、そのときは思えた)なのと、金銭的理由で断念。タオルミーナは、ご存知『グラン・ブルー』の舞台となった、美しい海のある町。ていうか、リゾート地。ま、『グラン・ブルー』見てないわたしには、カンケーないけどさ・・・。アグリジェントは、”神殿の谷”と呼ばれるローマ遺跡群がある。どちらにしても、シチリアはこの辺を見ないと、話にならないですね。

ウィーンの美術史博物館(オーストリア)☆☆☆

・・・ここは確か、入場料が8ユーロ?とかその辺で、入り口まで行って15分くらい悩んだあげくあきらめた美術館。オーストリアを出てから、ここが「ヨーロッパ三大美術館のひとつ」であることを知り、美術館マニア(?)のわたしは激しくショックを受けた。ウイーンのほかの美術館は、相当真面目に制覇しただけに、余計に後悔。

ザルツブルグ(オーストリア)☆

・・・ルートからは大幅に外れていたので、特に後悔があるわけではないけれど、お金があれば、ウイーンから戻ってでも行きたかった街。モーツアルトの生まれた街ですな。

モスタル(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)☆☆☆

首都サラエボから、クロアチアのドブロブニクに行くバスは、ここを通過したのだが、夜行バスに乗ることにしたのであきらめた。サラエボよりも凄い、内戦の傷跡が残る町。しかし、当時はそれほど凄いとは知らず、「サラエボで充分」と思ってしまった。わざわざそんな物騒なもの見に行かなくても・・・と思われそうだけど、ついついこういう場所に、食指が動いてしまう不謹慎なわたしです。

モンテネグロの町☆☆

・・・ドブロブニクから、ギリシャに行くのが目的だったわたしにとって、モンテネグロは単なる通過点だった。今にして思えば、モンテネグロなんていうかなりレアな国に入ったのに、通り過ぎただけというのはもったいないよな。聞けば、美しい旧市街などもあったそうだ。ま、当時は何も情報もなかったので、仕方ないか・・・。

クレタ島、ロードス島など(ギリシャ)☆☆

・・・エーゲ海島めぐりは、ギリシャ観光のハイライトの1つ。というわけで、ミコノス島とサントリーニ島という、1番人気を争う島には行ってきたが、欲を云えば、エーゲ海最大の島・クレタ島、世界遺産になっている旧市街のあるロードス島くらいまで足を延ばしたかった。辞めた理由は、もちろん金銭。島と島をつなぐ船が、高いんだよね・・・。

ルーマニア☆☆☆

・・・この国をあきらめた理由。それはただ1つ。その前のブルガリアで、闇両替サギにあったからである。この事件で30ユーロとヤル気を失ったわたしは、一刻も早くトルコに入りたくて、首都ソフィアからイスタンブール直行の列車に乗ったのだった。ドラクエに出てきそうな城、素朴な田舎の村々、独裁者チャウシェスクの”国民の館”など、見たいものは色々あったのにな・・・。

●○○中近東編○○●

中近東は、それほど後悔のない旅路だった。途中から一緒に行動していた女性が、けっこう精力的に観光する人だったので、そのおかげかも知れない。

デンデラ遺跡(エジプト)☆☆

・・・遺跡の宝庫エジプトの中でも指折りの美しいレリーフが残るデンデラ遺跡。ルクソールの手前にあるのだが、確か車をチャーターするだか何だかで、アクセスがちょっと悪いのだった。当時、1日も早くアフリカ縦断を開始したかったので、時間のかかる場所は面倒なので止めた。

●○○アフリカ編(北アフリカを含む)○○●

取材のおかげで、エチオピア、ケニア、ウガンダ、タンザニアはかなり色々回ったため、それほど後悔はないかも・・・と思ったけれど、思い出せばちょろちょろ出てくるな・・・。

エルラシディア、ワルザザードなど、南部モロッコ(モロッコ)☆☆

・・・何しろモロッコの旅は、現地人との戦いの連続だったため、あちこち回ろうという気持ちが失せていた。とりあえず、ハイライトだけ回って終わってしまったが、今のわたしなら、そんな戦いなどものともせず(笑)突き進むのに・・・なーんて。南部モロッコは、砂漠地帯。メルズーガには行ったけれど、もう少し砂漠地域を回ってみたかった。かなり壮観な景色が見られるはずだ。そう、モロッコは、今思えば、非常にエキゾチックで景色の美しい国だったんだよな・・・。

タタウィン(チュニジア)☆☆

・・・『STAR WARS』の舞台となった、不思議な家々がある場所。そのうちの1つ、マトマタには行ったのだが、その奥のタタウィンは、車をチャーターしなければならないので、止めた。シェアする人もいなかったし。しかし、写真で見る限り、タタウィンの建物は、マトマタ以上に凄い。

ポートスーダン(スーダン)☆☆

・・・”何もない”スーダンだが、何とダイビングスポットがある。しかもダイバーの憧れの地・紅海。が、首都ハルツームから16時間という移動におののき、断念した(※スーダンはクソ暑いのです)。それと、当時はエチオピアのラリベラで”ティムカット祭”を見たくて、それに間に合わせるには少々時間が押していた、というのもある。

マサイ村(ケニア)☆☆☆

・・・マサイマラ国立公園でのサファリ途中に、別料金を払って見る観光スポット。文字通り、マサイ族の村。だが、思いっきし観光村である。一緒にサファリに参加していたI さん夫婦が「オレらはやめとくわ」と云ったので、つい流されて「そーですよね、800円なんて、高すぎますよね」と入らなかったのだが、観光マサイと云えども、見た目は立派なマサイなので、やっぱ間近で見て、写真も撮っておくべきだったな、せっかくなので牛糞で出来た家(笑)も見たかったな・・・とけっこう後々まで悔やんでいた。結局、わたしが持っているマサイの写真は、ナイロビのホテルの門番をしていたお兄ちゃんのだけ・・・。

ムブロ国立公園(ウガンダ)☆☆

・・・自転車orバイクで、個人で周れるという、ユニークなサファリが楽しめる公園。取材対象でもあり、けっこう食指はそそられていたのだが、アクセスが面倒ゆえに断念した。とにかく当時は、”スムーズに”旅を進めたくてしょうがなかったのだ。

キリマンジャロ、キルワ・キシワニ(タンザニア)☆☆

・・・タンザニアまで来ると、著しい取材疲れのため、観光も移動もすべて億劫になっていた。キリマンジャロは、ルワンダからタンザニアに入ったため、ルート的には思いっきり外れてしまう。が、行こうと思えば、ムワンザから行けなくはなかった。ただ、その道はめちゃくちゃ悪路だと聞き、あっさり断念。行ったところで、トレッキングはしなかっただろうし。
キルワ・キシワニは、歴史的観光地の少ないアフリカの中では、貴重な遺跡である。アクセスの悪さからして、ほとんど観光客のいなさそうなところは魅力的だったが、何しろ疲れ切っていたので、アクセス>観光、という不等式が即座に出来上がり、さっさと次の国ザンビアへ行くことにしてしまった。

ガーデンルートなど(南アフリカ)☆

・・・南アは、ヨハネスブルグとケープタウン(喜望峰含む)しか見ていない。が、実はけっこう見どころの多い国で、サファリも充実しているし、ダイビング、サーフィンと、自然好きには魅力的な観光地が満載なのだ・・・って、別にわたしは自然好きではないし、そういう遊びをすれば何十ドル単位でお金が飛んでいくワケですが。ガーデンルートというのは、ケープタウンから東へ向かう海岸沿いの地域のことで、景色が美しいことで有名である。南アは、もうちょっと物価が安ければいいんだけどね・・・。

マダガスカル☆

・・・南アまで来ると、もはやアフリカはお腹一杯状態だったので、早いとこ南米に飛びたかった。しかし、もう少し我慢がきけば、そしてもちろんお金が許せば、マダガスカルに行きたかった。バオバブの木やアイアイも魅力的だが、何と云っても、アフリカ一おみやげが可愛いというウワサなのだ。旅人の間でも、行く人が少ないせいか、憧れの地である。ただ、交通の便はめちゃくちゃ悪いらしい。

西アフリカ☆

・・・これはもう、ルートから外れるとかいう以前の問題で、予定にも全く入っていない地域である。が、後々になって、人の旅行記なんかを読み、「西アフリカの方が、アフリカらしいではないか・・・」という感想を抱き始めた。もし、人生でもう1回、長い旅が許されるなら、西アフリカは絶対に外さないつもりだ。
マリのトンブクトゥやドゴンもいいけれど、わたしの中でのハイライトは、サハラ越えとモーリタニア!砂漠大好きなもので・・・。スーダン以上に何もないというウワサのモーリタニア、ぜひ行ってみたいぞ!

・・・・・・

南米以降については、次回。

(2004年6月)


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