IKUMOP.GIF - 1,393BYTES旅先むだ話IKUMOP.GIF - 1,393BYTES


++旅先恋愛++
他人の恋愛話を聞くほどタイクツなことはない、とはよく云われることであり、その通りだとわたしも思う…と云いたいところであるが、実はそうでもない。
何故なら、わたしは一般人に比して、血中恋愛濃度が極度に薄いため、人の恋愛話でも聞いて自らを鼓舞しなければ、並みの恋愛ができない身体なのである(ホンマかいな)。
まあわたしの体質は例外として、自分が恋愛していないときというのは、他人の浮かれた話を聞くのもまた楽しいものではないだろうか。

と、前置き…いや、いい訳をしたところで、本題に入ろう。
いい訳というのはつまり、これから、自分の経験に基づく旅先での恋愛話を展開するにあたって、「そんなもん聞きたないわい」という反論がかえって来るのを防ぐためである。
し、しかし、待っていただきたい。結論から先に云うと、日本を出て半年余り、わたしには下半身スキャンダルが全くない。
「日本の女は海外に出るとセックスしまくる」という、そこら中で聞かれる悪評に立ち向かう(?)意味もあって、出発前には周囲の人間に禁欲旅行を標榜していたわたしだ。が、いざ、半年もそれを守り抜いている自分を見ると、誉めてやりたいような、殴ってやりたいような、複雑な気分になる。

TV「あいのり」を見ても分かるように、旅先では感情のボルテージが上がり、にわかに感受性が豊かになり、人はたやすく恋に落ちる。
非日常の中で出会う異性(同性でもこの際いいけど)は、何か特別な存在のように見える。いわゆる「旅先ではオトコ前(美人)3割増」というやつである。
わたしもこのワナ(笑)にまんまと引っかかったことが、実はあった。今回の旅ではなく、今は懐かしい大学の卒業旅行での話である。
そいつとは、遠距離恋愛だったせいもあって、わずか数ヶ月で関係が途絶えた。以来、旅先での恋愛を、わたしは基本的に信用していない。相手に関してはもちろん、自分についてもである。「あいのり」でドラマチックに結ばれたカップルの9割が別れているのを見ても(ま、ヤラセっつー話は横に置いといて)、旅先恋愛というのは、普通の恋愛以上に”熱しやすく、冷めやすい”、マボロシのような恋なのである。

とは云え、ここまで何事も起こらないと、己の女子力(語源は「non-no」)を疑わないわけにはいかない。
ゴルゴ13印のコンドームを、万一レイプに遭った時用にと(実際には全然役に立たないだろーけど)持参しているのを、ドイツで世話になったKさんなどは「(レイプじゃなくて)使い道があるといいですねー」とからかってくれたものだが、2002年10月現在、6つ入りのコンドームは6つとも未使用のままである(苦笑)。
でも、「日本でモテないから海外ではじけてる」なんて云われるのもシャクにさわるし(誰に云われるねん、って話ですけど…)、無理してコンドームを使う状況を作る必要も、今のところ感じないのだから仕方ねーじゃねーかようぅぅぅ…。

モロッコやチュニジア、トルコなどでは、女一人でふらふら歩いていると、声をかけてくる現地の男はたくさんいる。
が、残念なことに、あの系統はわたしの好みとはかけ離れている(理由は暑苦しいから…あっ、でもトルコは欧米系とのミックスで男前多いかも)。
反対に、ヨーロッパでは殆ど誰も声をかけてこない。となると、知り合うのは旅行者同士ということになるが、日本人以外だと必然的に英語で話すことになり、わたしは相も変わらず英会話になると頭がショートしてしまうので、恋愛どころか会話もロクに成り立たない。
残るは日本人旅行者だが、これがフシギなことに、殆どの男が彼女を置いて旅に出てきているのだ。例え半年以上の長期旅行者でも、である。逆のケースはあまり聞いたことがない(もちろん皆無ではない)。
よって、旅先で知り合うどいつもこいつも恋愛の対象とはなってくれないのである…なんていい訳ですね。はい。

ただでさえ女子力の低いわたしが、旅先では化粧もせず、いつも同じ服ばかり着ているような状態なので始末が悪い。手の施しようがない。
普通、長旅をしていると、一度くらいは恋に落ち、しばらくその相手と行動(旅)を共にしたりするらしく、そういう女の子よく見るよ、だからこの先ゼッタイそういうことはあるでしょう、と、ある日本人旅行者(男)に云われたことがある。あれは確かスペインでのことで、その後4ヶ月も経っているが、”そういうこと”はない。

そんなわたしでも、下半身までコトが至らなくても、全く以って誰にも心ときめかなかったわけではない。
「旅先風信」の中の「モナミー」という項の錯乱ぶりを見ていただければ分かるように、モロッコではチリ人パッカーF君に一目惚れし(?)、人知れず涙したこともあった(わはは)。
その後しばらくは、恋愛しようという気すら起こらなかったが、ある日ある場所で突然それは降って沸いてきた。恋愛というのは本当に、交通事故みたいなものだ。こっちは何の準備も出来ていない。加えてわたしの狩猟(こらこら)の腕は最低である。旅先の一瞬の出会いで、相手の心をわし掴み(笑)にする技術は持っていない。
ここでいきなり、ナポリで会った女教師さんのことを持ち出すが、「ノイシュバーンシュタイン城で会ったカップルの男を横取り」なんて話は、わたしにはウルトラCとしか思えない。何かクスリでも使ってんのか?てな感じである。
彼女は若い頃は、旅先でずいぶん男にごちそうになったとも云っていた。他人の恋人なんていらねーから、飯くらいはごちになりたいものだ(卑しい?)。
ちなみに、今まで飯をごちってくれた人は、いずれも女性であった。女性は全く下心なしに親切にしてくれることが多い。旅に出てから、わたしは今まで以上に女性を見直すようになった。

…そんなわけで(どんなわけだ)、もちろんその人とも何事もなかったわけだが、今でもその人のことを考えると胸がざわつく。新しい土地にやって来るたびに、「彼もここを通ったんだろうか」と考えて、何とも云えない気持ちになる。
そのほかにも、淡いときめきはいくつかあった。しかし、いずれも身を結んでいないのは、ひとえに己の恋愛能力の低さのせいである。ひゅるるるー…さぶい。

こんなヌルいことをやって時間と若さを浪費しているうちに、「来月結婚することになりました」なんてメールを同い年の友達からもらっちゃったりすると、「オレは一体何をやっとるんじゃあ!」と頭をかきむしって線路にでも飛び込みたくなりますなあ。

(2002年10月)

ICONMARUP1.GIF - 108BYTES 画面TOPむだ話INDEXHOME ICONMARUP1.GIF - 108BYTES

inserted by FC2 system