ゲイ術手帖番外編其の参

「大河ドラマ『北条時宗』をめぐる華麗なる妄想」

 本当はこれ、ゲイ術手帖本編で取り上げてもよかったのですが、そこまでドラマを熟知できていないのでやめておきました。北村一輝にはまったついでに、(いや、どちらが卵でニワトリかというのは難しいですが)NHKの大河ドラマ『北条時宗』にどっぷりはまってしまっているわたしです。今更とは思いながらもNHKの公式ガイド本を前後編購入し、放送はビデオに撮って繰り返し見ています。

 さて、ここからが本題。このHPのfavoriteのコーナーでも書いたとおり、お盆中はネットで北村一輝を探しまくるという不毛な日々を送っていたのですが、そんな中でも収穫だったのは『時宗』のファンサイトを多く発見したことでした。ファンサイト、と一口に云いましても、単なるそれではなく、いわゆる"やおい系"のサイトなのでして(最近はやおいとは云わず"腐女子"と云うそうです。妙に納得)、つまり、『時宗』の中の登場人物同士がホモであるという、ゲイ術手帖ではおなじみ(?)のアレです。C翼、S星矢以降、この手のパロディにはほとんど興味を示さなかったわたしですが、『時宗』には久々に燃えています。まったく、灯台もと暗しとはこのことです。

 で、一体誰と誰がホモなのか。これがまたバリエーションに富んでいまして、時宗×時輔という主役二人の兄弟モノを筆頭に、時宗×平頼綱、頼綱×謝太郎や時輔×近衛関白(!)なんていうマニアックなものまであります。しかしC翼における日向×若島津のように人気が高いのは、兄弟モノと時宗×頼綱でしょう。兄弟モノも面白そうなのですが、なにぶんわたしは北村=頼綱にぞっこんなので、やはり後者が楽しく思われる。いや、このカップリングに関してはあながちパロディでもなくて、ちゃんとドラマを見ている人なら、頼綱の時宗に対する態度がやたらホモっぽいことはシロウトでも分かるようです。時宗に初めて会った時の頼綱が、「何と神々しい…」とか何とか云って目をうるませながらいきなり心酔してしまうシーンや、先週の放送で左遷された頼綱が「時宗様ァ〜!」とわめきながら壁に頭を打ちつけまくったあげく、「時宗様はわしに飽きられたのじゃ〜!」と絶叫するシーン、はたまた日蓮に手をかけようとした頼綱が時宗の怒りを買い、すると頼綱がエビのように後ずさってひれ伏すシーン(笑)などなど、わたしの知る限りでも思い当たるところが多々あるのですから、毎回熱心に見ているファンサイトの腐女子たちにはもはやそれとしか思えないはず。伝説の"浜辺でデート"シーンを見逃したのはまったくの不覚でした……。

 「八郎を応援する会」というサイトでは、その名の通り(注:八郎とは頼綱の過去の名です)このカップルを応援する会を結成しており、わたしも遅れ馳せながら49人目の会員となりました(笑)。ここのBBSがめちゃくちゃ面白くて、毎回ああでもないこうでもない、あのシーンのハチ(頼綱)は、トッキー(時宗)は……とさまざまな妄想が飛び交っています。こちらの会員さんの各サイトもあちこち訪問しているのですが、それぞれの恐ろしいほどのはまり具合と妄想の炸裂ぶりがとても楽しいです。さらに、女性二人で運営している「遥〜北条時輔ファンサイト〜」というサイトに行って参りましたら、パロディ小説が意外な面白さでけっこう感動してしまいました。基本的にパロディは所詮パロディ、と思っているわたしですが、こういう小説に当たると、ううむ、と唸ってしまいます。時宗×頼綱×顕時(3Pにあらず)の物語は禁欲的な美しさに満ちていて、読後2日経過した今も毒に当てられています……って、すみません、誰にも分からない話題でした。

 今回は脚本が女性ということで、もしかするとこういう"やおい的要素"をあらかじめ含みつつ書いているのかもなあ、と思いました(つまり井上由美子氏は腐女子ってことか)。まあ「わしに飽きられたのじゃ〜!」は北村氏のアドリブのような気もしますが(笑)。C翼、S星矢がそうであったように、戦う男たちのドラマには常にやおい的な妄想がつきまといます。ましてそれが美しい男たちであれば……。北村氏は云うに及ばずですが、時宗の和泉元彌も、ほとんど脂身のないさわやか好青年でありながらも、いや、そうであるが故の”無垢の色気”とでもいうようなものが、妖しい魅力を醸しています。苦悩する表情が何とも艶めかしいねえ。時輔の渡部篤郎についてはわたし如きが語るまでもないでしょう。鎌倉という魔の都で、それぞれに重い宿命を背負いながら、必死に戦い、その生を疾走する男たち。これぞロマンです。そしてロマンあるところに必ずやおいはある。と云うわけで、残り半年を切ってしまいましたが、皆さんも来週からご一緒に、時宗と頼綱の恋を見守っていきましょう(?)。

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