ゲイ術手帖 番外編 其の壱

「ゲイと芸術家」

 狂ったように回を重ねている「ゲイ術手帖」でございます。一人だけ暴走している気がしなくもないので、今回は箸休めといきましょう。

 ゲイの芸術=ゲイ術という言葉を思いついたのは、大学の卒論を書いている時でしたが、われながらよいネーミングだと自負しています。ちなみに卒論は「ゲイ術万歳!あるいは同性愛と芸術をめぐる一考察」といういやに気取ったタイトルで、芸術家に同性愛者が多いのは何故かというのがテーマでした。芸術家にゲイが多いことは、わりとポピュラーな事実です。代表的なところではオスカー・ワイルドやジャン・コクトー、時代をさかのぼれば哲学の祖ソクラテス、「最後の晩餐」を描いた芸術家ミケランジェロ、大劇作家シェイクスピアもそうだと言われています。ヘアメイクやデザイナーの人にもゲイが多いそうですが、このことからもクリエイティブとゲイは極めて密接な関係にあると言えるのではないでしょうか。敬愛するわが嶽本野ばら様も「作家になるためにはホモセクシュアルでなければいけないと考えていた時期もありました」と語っておられます。しかし、それが一体何に起因するのかは分かりません。同性愛の原因が分からない(と言うよりそんなもんがあるかどうかも分からない)以上、芸術との関連性も甚だ決定項を欠く事象です。しかしここでは、それについて追求するのは止めましょう。

 「ゲイ術家一覧表」というのを作ったらなかなか興味深いものがあると思います。実際、近いものは出版されていて、『ゲイ文化の主役たち ソクラテスからシニョリレまで』という分厚い本がそれです。卒論の際には随分お世話になった本ですが、この文献によると、上記の方々以外にも、『一粒の麦もし死なずば』『田園交響曲』などのフランスの作家アンドレ・ジッド、『ベニスに死す』で有名なドイツの作家トーマス・マン、『白鳥の湖』『くるみ割り人形』でおなじみのロシアの大作曲家チャイコフスキー、異端の哲学者ヴィトケンシュタイン、女性ならイギリスの作家ヴァーニジア・ウルフなど、実に多ジャンルにわたるゲイ術家が存在することが分かります。あやふやなものならそれこそもっと多くの著名人にゲイ疑惑があり(例えばかのベートーベンやニーチェなど)、むしろゲイでない方がおかしいのではないかと錯覚しても仕方のない有り様です。

 日本ならばやはり三島由紀夫とか、江戸川乱歩あたりでしょうか。最近では槙原敬之なんていうのもありましたね(笑)。芸能界は多いみたいです。風間トオルとか(納得できるよなー)。ジャニーズ事務所のジャニーさんなんて今やホモの代名詞(?)、古くはフォーリーブスの時代から今をときめくSMAPもTOKIOもみーんな経験者だとすれば、やはりクリエイティブの世界で生きるには避けて通 れない道ということになるのでしょうか。変な結論。


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