旅先風信75「ボリビア」


先風信 vol.75

 


 

**B級首都とチーズケーキ**

 

まさかこんなところで、これは沈没なのかしら。

えーと、今日は8月3日ですね。ここラ・パスに来たのが7月29日だから、もう6日経っていることになりますね。
移動と観光の鬼と評判の(ウソウソ)わたしが、実は何の観光スポットもないラ・パスで6日も何をしているのかって?何もしていません。わっはっは。
HPも少々たまっているのですが、はっきり云ってやる気もありません。とりあえずこれを書いているのは、今のこの気分を写し取りたかっただけのことで、「そろそろ更新しなきゃな…」なんて殊勝な心持は皆無です。

ここに来てからのわたしは、実に実に、怠惰と浪費甚だしい生活を送っているのですが、「そろそろやばいよな…」という反省の色もあまりなく(これは珍しい)、ただただ流れるままに時間とお金を消費しているのみです。
もちろん、そんなことが1人で出来るわけはありません。ちゃんと道連れがいるんだよ(笑)。

ラパス全景…って、細かすぎてなんや分かりませんな(笑)。

プーノから国境の町コパカバーナを経由して首都ラ・パスへやって来た韓国人パッカー・スーラとわたしは、とりあえずわたしがメモってあった宿「エル・ソラリオ」を目指しました。
しかし、何とこの時期、このマニアックな(でもないか)国にもツーリストが大挙しているらしく、「エル・ソラリオ」は満室。
クスコ同様、首締め強盗で有名なラパス、こんな夕方にバックパック背負って宿探しなんてしたくないけれど仕方ない。ぶつぶつ文句を云いながら歩いていると、「あれ!今着いたの?」と日本語で呼び止められました。振り返って見ると、そこには、クスコの「八幡」で出会った、”テレサでニアミス”のGさんが。
「さっきエル・ソラリオでちらっと見かけて、もしかして?って思ったんだ」
「今あそこ満室らしくって、宿探してるんですよー。どっか知りません?」と尋ねると、彼も「エル・ソラリオ」に入れず、他の宿を取っているというので、そこに行くことにしました。
しかし行ってみると、1部屋しか空きがない。まったく、何でボリビアごときで(失礼)宿にあぶれなきゃならないんだ?!って感じですが、さすがにわたしがスーラもしくはGさんと1つベッドで寝るわけにいかないので、彼ら2人が男同士でダブルベッドに寝ることに(笑)。

Gさんは、わたしより2日先にクスコを出てプーノに向かっていたので、もしかして近いうちに会うこともあるかとは思っていました。どうやら彼も今朝着いたばかりのようでした。
荷物を置いて一段落したあと、夕食を食べに、3人でメルカドに行きました。ボリビアのご飯はペルーと同じくらいの値段なのですが、内容も全くと云っていいほど一緒…スープ・ご飯・肉の煮込み…マズくはないけれど、さすがに飽きた…。

翌日は、朝からブラジルビザの申請に出かけました。
八幡でちらっと、「ラ・パスはブラジルビザの申請が厳しくなった」という話を聞いていたので、やや緊張しながら行ったところ、やはり「出国のエアチケットは持っているのか?」
もちろんそんなものは持っていないので、「ブラジルから陸路でベネズエラに入り、コロンビアへ抜け、そこから飛行機でパナマに飛ぶのである」と説明したところ、「金はいくら持っているのか?クレジットカードは?トラベラーズチェックは?」とさらなる追及が。
それくらいのことはシミュレーションしていたのですが、クレジットカードだけで充分だと思っていたわたしは、トラベラーズチェックを宿に置いてきていました。取りに帰るのはあまりに面倒なので、「クレジットカードで3000ドルくらい下ろせるからいいじゃん」と云ってみるのですが、「そのカードに本当に3000ドル入っているかどうか、どうやって確かめるのだ?」とやり返され、「トラベラーズチェックを取りに帰れ」。…30分歩いて来た道を、また戻るハメに。

しかし何とか申請は受理され、2日後の朝にビザが下りることになりました。
やれやれ、と胸をなでおろしたわたしは、仕事を片付けたごほうびに(アホか)、『アレキサンダー・コーヒー』に行くことに。

『アレキサンダー・コーヒー』とは何か?
今をさること1ヶ月前、チリの汐見荘にて、チャリダーMくんが、「ラ・パスに行ったら、ぜひ『アレキサンダー・コーヒー』のチーズケーキを食べるべし。あれは、日本のチーズケーキに勝るとも劣らない美味しさである。チーズケーキマニア(?)の僕が云うのだから間違いない」と力説していたことがありました。
チーズケーキマニアかどうかはさておき、Mくんはかなり料理にうるさい男子。その彼が云うからには本当に美味しいのであろう、と記憶に留めていたのです。
しかし、やはり汐見荘で会ったM&I さんカップル曰く「ボリビアって、0.5ドルくらいで一食食べられるから、2ドルもするチーズケーキなんて、物価的に考えると高いから僕らは食べなかった」。
…確かにその通りだわ。

確かにその通りなんですが、でも、1回くらいいいんじゃないか?ブラジルビザだって、ブエノスなんかじゃ65ドルもかかるところを最安の50ドルで取れたんだし…2ドルくらい、バチ当たらないんじゃないか?
実は(でも何でもないが)、わたしは甘い物(菓子類)にはすこぶる弱いのです。ま、女子だからさ、仕方ないよね、女子と云えばケーキだよね、と、色んないい訳をこねて、チーズケーキを食べることにしたのでした。

さて、そのウワサのチーズケーキはどんなものだったかというと…。
こ、これは何?このボリューム、そしてこの味は…本当にボリビア産なのか?と本気で疑いたくなるくらい……美味ーーーい!!!何だよこれーーー!!!
頭の中でパンパカパーン!とファンファーレが響きっぱなしです。
8割がた食べた時点で、もう満腹に近い状態でした。もちろん、勿体無いので完食。このあとメルカドで安メシを食べに行くつもりでしたが、とてもとても入りそうにありません。

はまっちゃったのはわたしだけではありませんでした。
男子のくせに甘い物好きのGさんも、やはり同じ日にしっかりケーキを食べに行っていたことが判明(笑)。
翌日、ともにエル・アルトの古着市(市は大規模だったが、古着はしょぼかった)に出かけた帰り、「…チーズケーキ、もう1回行っときます?」とどちらからともなく云い出し、そこから怒涛のカフェライフが始まってしまい…現在に至っております。
2人とも、明日でラ・パスを去ることになっているのですが、明日も最後の1回と云って食べに行くつもりなので…5回だ。7日間中、5回。ほとんど皆勤みたいなものですね。3種類あるチーズケーキももちろん制覇。って、何の自慢にもならないけどな(笑)。

またここ、ケーキだけじゃなくて、カプチーノが美味いんだ。美味すぎる。
このクリーミーな泡立ち!香ばしいにおい!メルカドの”しょうゆさしコーヒー”(注:インスタントコーヒーをどろどろに溶かした原液?にお湯と少量のミルクを注いで作るコーヒー。異様に甘い)なんて、一体何じゃ?って感じだよ(笑)。
これも1ドルちょっとする、高級飲み物なのですが、「だって美味いもん。これで1ドルちょっとだよ。日本じゃ飲めないよ」と、都合よく日本の物価に換算し、チーズケーキ+カプチーノ=23ボリビアーノ(3ドル少々)のぜいたくなお茶を日々楽しんでいるのでした。

いや、本当に、ボリビア物価で考えると、これってとんでもない贅沢でして。だって、今泊っている宿が1泊18ボリビアーノですから、ホテル代より高いお茶をしているというわけだ(笑)。客層を見渡しても、街なかにうじゃうじゃいるインディヘナのおばちゃんなんか皆無で、スーツにネクタイの見るからにエリートそうなおっさんとか、ヨーロッパからの白人ツーリストとか、金持ちそうなマダムとかばっかで、チーズケーキなんかよりさらに高い、美しい盛り付けのシーザーサラダとか食ってるんだよ(さすがにそこまでは出来ないわたしたち…)。この空間だけボリビアじゃないみたいです。

LAPAZ33.JPG これが南米一美味しい(断言)チーズケーキとカプチーノだ!!!

冒頭にも書いたように、ラ・パスは観光を楽しむ街ではありません。観光資源は皆無、と云ってもいいくらい。
しかし、立派な見どころなどない代わりに、しょーもない楽しみはたくさんあります(笑)。
その筆頭が”ラパスB級建築めぐり”。
どういうことかと申しますと、ラ・パスには、どーしょーもないセンスの建物が乱立しておりまして、「そこにそのビルはマズイやろ」とか「ちょっと毒々しすぎるやろ」などとツッコミに事欠かない状況なのですね。15分くらいメインストリートを歩いている間、一体何回ツッコミを入れたことか(笑)。
何たって、国会議事堂がすごい。色が、アレキサンダーコーヒーのオレンジ味のチーズケーキと一緒(笑)。しかも、すぐ隣にボロボロの雑居ビルがくっついて建っているのです。全然威厳がないよアンタ…。

さらに、街のど真ん中に、最近見たこともないような趣味の悪いネオンがギラギラしていたり、TOYOTAならぬTOYOSAのショールームがあったり、「バーガーキング」の建物がお菓子の家風(しかも真っ青)だったりと、まー何もかもがチャチで胡散臭い。明らかにオフィスビルのはずの建物は何故かラブホテルっぽいし、文化センターの建物は全く文化を感じさせないシロモノだし、いやはや、こんなにめちゃくちゃな都会を見るのは久々です。素人のわたしですらそう思うのですから、建築の仕事をしていたGさんなどから見ると、ここは異次元かもなあ。「ラパスB級建築マップ」とか作ったら楽しいかも(笑)。

LAPAZ7.JPG トヨサ(でも何故かその下にトヨタ)。

そのほかにも、いろいろとB級要素はあります。
●町なかを走っている車の99パーセントがコレクティーボ(ミニバス)かタクシー
●地球の裏側まで中国製品はびこりまくり。電化製品の店には「TOSHIBA(東芝)」ならぬ「PANASHIBA」の電池が並ぶ(パナシバだよパナシバ。パナソニックと東芝だよ。どんなコラボだよ?)
”魔女通り”と呼ばれる通りでは、リャマの胎児のミイラや怪しげなお香が売られている出店が立ち並ぶ
●刑務所は市民の憩いの広場の前にどっかーんと建っており、昨年まではツーリストも内部を見学できたとか…ちなみに、われわれが正面玄関から遠慮がちに中をのぞいていると、黒人の囚人が何やらやる気マンマンで「カモーン!」と手招きするので、ドキドキしてしまった(笑)。
と、そんな感じで、何かがズレている街なのです。

都会なんだけど、全然洗練されていなくて、露店や市場なんかはちょっとアラブ辺りを思い出させるような雑多な雰囲気で…。わたしは、この何とも形容しがたい街に、これまた形容しがたい居心地のよさを感じていました。
宿だって、別に大したことはないし、娯楽や見どころがあるわけでもないのですが、何にせよ、とにかくツッコミどころの多い街で、飽きません。
コピーCDも安いしな。1ドルちょっとで、新譜もバッチリ手に入るので、レンタルCDよりずっとお得(笑)。調子に乗って10枚くらい買ってしまいました。これまで、CDをほとんど持っていなくて、音楽的に実に貧しい生活を送っていたのですが、今はボブ・マーリーからマドンナからクランベリーズから、何でもあるぜ(笑)。
さらに、『ターミネーター3』とか『チャーリーズエンジェル2』とか、チョー新作のDVD(もしかするとVCD)もばんばん並んでいる…全く、やりたい放題だろお前ら(笑)。

魔女通りで販売されている、リャマの胎児ミイラ。。。

昼間は、そんな街を当てもなくぶらぶらし、夜はメルカドでご飯を食べたあと、宿の1階にあるピザ屋にてビールで晩酌。
スーラとGさんと3人で飲んでいるのですが、ビールが苦手なわたしなのに、何故かくいくい飲んでしまって、12時過ぎにようやく宿の部屋に戻ってそのまま気持ちよく眠りに落ちる・・・というのが、ラ・パスに来てから3日くらい続きました。

実は、ラ・パスに着いた日、1週間ぶりにネット屋に行ってメールを見たら、27通中21通が迷惑メールHPは相変わらずアクセスがない、というのに本気で落ち込み、「もうネット屋には行かない。HPの更新もしないし、メールも書かない」と決意してホテルに戻ってきたのです。
元来、メールやネットは、1人旅の寂しさを紛らわせてくれるはずのものなのに、今やそれ故に孤独が増幅しているようで、「何で金払ってこんなイヤな気分にならなきゃいけないんだ。それだったら、ネットやめて浮いた金で親に電話した方がよっぽど世のため人のためだ」…と、すっかり世をすね、誰とも関わりたくない、そんな気分になっていました。

しかし、そんな悪態も忘れるほどに、そしてメールなんて見なくても全然問題ないくらいに、今は充足しています。
ラ・パスに来て、そして、スーラとGさんに会えて、本当によかった。こんなに美味しくビールを飲むのは久しぶりだし、こんなに誰かと一緒に行動してなおかつ心から楽しいのも久しぶり。最初は、日本人同士でつい日本語で盛り上がったりして、「はっ、ごめんスーラ…」とか反省したこともありましたが、今はお互いあまり気も遣わなくなり(笑)、ときどきお店にいるほかの外人ツーリストなども混じえて、好き放題喋っています。
3人とも、旅が長い(スーラが2年10ヶ月、Gさんが2年半)という共通点のせいか、何となく相通じるものがあるのですね。
日本での人間関係なんて、もうどうでもいい。どうせいっぺん、清算しなきゃいけないと思ってたもの。メールなんていらない。HPの反応もいらない。今、目の前にあるものの方が、現実だし、大切だもの。

スーラがひと足先にラ・パスを出ることになった前の晩、また下のピザ屋でビールを飲みながら、記念写真を撮りっこしました。ひとしきり写真を撮ったあと、Gさんが、「あとで見るとこういう写真が一番楽しいんだよね」と云うのを聞いて、わたしはぐっと胸がつまりました。
旅が終わって、フィルムを現像に出してこの写真が焼き上がってきたとき、わたしはこの言葉を思い出してまた胸をつまらせるでしょう。スーラはその後、持ち歩いている韓国スープの素を使って、ピザ屋のキッチンで何とラーメンを作ってくれたのですが、そのラーメンの美味しかったこと!ラ・パスの寒い夜に、韓国風の辛いスープは格別に身に沁みました。そして、ビールともよく合いました。わたしは、このラーメンと、いつになく美味しく飲めたビールの味(普段はビールの美味しさが今イチ分からないのです)を、忘れることはないでしょう。旅先の一瞬の出会いのきらめきとはかなさが、そこにぎゅっと詰まっているような気がするからです。

スーラが去ったあと、入れ違いに今度はマチュピチュに一緒に行ったメンバーの1人Kくんが、ウユニから帰って来ていて、これまた偶然の再会。
見どころのないラ・パスなど早々に立ち去るはずのKくんに「アレキサンダーコーヒーのチーズケーキを食べずして、南米は語れないよ」とかめちゃくちゃなことを云って引きずり込み、1泊延ばさせてしまいました。ケーキで1泊延ばすKくんもKくんだけど(笑)。そしてまた、毎昼毎夜恒例のだらだらライフが繰り広げられるのでした…。

ある朝、部屋でのりさんの『HIT THE ROAD』を読み返していたら、何とラ・パスの日本人会館で、約4ドルでイクラ丼が食べられるという話が目に飛び込んで来ました。
早速Gさんに話すと「それはぜひ行かないと」と、一も二もなく賛同を得、日本人会館レストラン「ふるさと」へ。
メニューを見ると、天ぷら定食やらうどん定食といった、とても魅力的なメニューが並んでいます。が、やはり日本食はお値段もなかなかのもの。そして、肝心のイクラ丼が載ってない!いぶかしく思いながら何度もメニューをめくるのですが、やはりない。「ちゃんと書いてあったんですよー…」とうなだれるわたしに、「一応聞いてみるか」とGさんが給仕のおばちゃんに尋ねてみると、「イクラ?ありますよ」との答えが!どうやら、現地人にはあまり人気がないらしく、それでメニューには載せていないらしいのですが、値段ものりさんが書いていた25ボリビアーノで据え置き!よかったよかった。

もうすぐ日本に帰るKくんは辞退しましたが、この先まだまだ旅の長いわたしとGさんは、「ここで食べとかないと、いつ食べられるか分からん」と、迷うことなく注文。しかも、わたしは一番好きな食べ物がイクラなのです。
そして、出て来たイクラ丼は…すっげー、イクラ満載じゃん!イクラなんて申し訳程度にしか載ってないのでは?と実は疑っていたのですが、これは期待以上の出来です。文句なしにイクラがみっしりご飯の上に敷き詰められているのです!(感涙)
普段は、珍しいものを食べるときは、食べる前に写真を撮るのですが、このときばかりはそんな慣例はすっかり忘れて、来るなりがっついてしまいました(笑)。味噌汁と漬物、緑茶もついて大・大満足です。

アレキサンダーコーヒーといい、イクラ丼といい、ちょっと予想外の贅沢をしてしまっていますが、Gさんも云うように「ラ・パスでの過ごし方はこれでいいの!」ともはや割り切りました。
観光しなくていい分、美味しいものをしっかり食べる。これも旅人の仕事だもんな(笑)。ま、その楽しみがことごとく”ボリビアと何のカンケーもない”ところがちょっと問題ですけど(笑)。
それに、普段の食事は、メルカド(市場)の0.5ドル定食なので、一応バランスは取っているのでして。コーヒーだって、アレキサンダーのカプチーノばっか飲んでいるワケじゃなく、1ボリビアーノ(20円くらい)のベタ甘インスタントコーヒー(しょうゆさしコーヒーのこと)もちゃんと飲んでます。

夜になると屋台がたくさん出るのが、アジアっぽい。

そんな風なラ・パスでのぐうたら生活の中で、特にGさんとは多くの時間を過ごし、またよく話しました。
スーラやKくんも交えてでしたけど、とにかく毎日一緒に、どこかしらに出かけていました。しかし、こんなに他の旅行者とくっつき回っていることは、わたしの旅の中では珍しいことで、晩ご飯を一緒に食べるくらいのことはあっても、昼間っから何となく誘い合わせて、しかも当てもなく出かけるなんていうのは、テレサのときだってそうそう毎日ではなかった。

ま、行き着く先はだいたい『アレキサンダーコーヒー』なんですけどね(笑)。クスコの回でもちらっと書きましたが、わたしたちは、ヨーロッパ旅行が長く、しかもヨーロッパ大好きという点で一致しており(と云っても期間は彼の方が長く、何と1年!)、まあしつこいくらいヨーロッパネタで語りまくっていました。
また、アフリカから来たわたしと中米から来たGさんは、ここでルートが交差しており、この先、わたしは中米、Gさんはアフリカへ、つまり逆方向に行くということで、情報交換にも余念がありません。お互いのルートを、ああでもないこうでもない、とこれまたしつこく討論(?)し、一度なんかは、アレキサンダーコーヒーで5時間くらい粘ったことがありましたっけ。気がつくと客が全然いなくなってて、時計を見たら夜10時なの(笑)。

……しかし、宴はいつか終わるのです。必ず。
いくらケーキが美味しいとは云っても(笑)、いつまでもこの何も見どころのない街でだらだらしているわけにはいきません。
そして、せっかく出会った人たちとも、別れの日は来る。これも、確実に。
でも、もうちょっとだけ、あと1日だけ…ここを出たらしばらくはのんびりできる場所もないし…。そんな風に自分にいい訳しながら、同じようにだらだらしつつあったGさんを巻き込みながら(或いは巻き込まれながら?笑)、1週間ここに居たわけですが…明日には必ず出る。わたしも。Gさんも。いつものような「明日出ようかな」という曖昧な決心ではなく。また、1人で食事をし、街を歩く日々に戻るのです。

昨日の晩は、KくんとGさんと3人で、しょうゆをたらしたアボガドをつまみに、Gさんが作ったサングリア(スペインのワインカクテル)を飲みながら、わたしのPCでスピッツの『花鳥風月』を流しながら、夜中まで話込みました。
好きな本の話、これまでに旅した、そしてこれから行くであろう国の話、学生時代の話、日本に帰ってからの話…話は色んなところに飛んで、まったくとりとめがなくなりながらも、なかなか切り上げることができませんでした。話がふっつり途切れるのが怖かったほど、わたしはこんな風な夜がこれで終わってしまうことを惜しんでいました。

とりあえず、明日は最後のアレキサンダーコーヒーだ。オレンジ味のチーズケーキとカプチーノで。

 

(2003年8月3日 ラ・パス)

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