旅先風信7「スウェーデン」


先風信 vol.7

 


 

**北欧まで来た**

 

こんにちは。慌しくバルト三国を後にして、北方最後の国、スウェーデンにやって来ました。
出発時には北欧にやって来るなんて、ほんと、夢にも思ってなかったのになあ…遠くまで来たものです。

エストニアからスウェーデンまでは、マグロ漁船…ではなくてバルティック・クリスティーナという客船でまるひと晩です。
ケチってキャビンのチケットを買わなかったため、椅子席で寝ることになった以外は、快適な船旅でした。
スウェーデンのカペルア港からストックホルム行きのバスに乗ったのですが、車窓の風景を見ながら、バルトの国との違いをひしと感じました。
郊外の風景を見ると、けっこうその国の生活水準って分かるような気がします。つまり裕福なんですよ、スウェーデンは。

ま、そりゃそうです。だって、うわさに違わず物価が高い!実に高い!
地下鉄、たった3駅先に行くのに240円もしやがるのですからね。悪名高い大阪市営地下鉄でも230円なのにさあ…。
よくよく考えたら、これまでの国が安すぎただけなんですけど…。

SUKANSEN.JPG - 247,546BYTES 典型的な北欧の田舎のおうち。

さて、ストックホルム。
もうヨーロッパの街並はお腹いっぱい、と思っていたのに、ここはまた絵に描いたような綺麗さで、ちょっと感動してしまいました。
”北のベニス”と呼ばれているそうですが、なるほど、水の都なんですね。街全体が、いくつかの島から成り立っていて、岸にはたくさんの遊覧船が停泊しています。

ストックホルムの見どころは、もう街そのものと云ってもいいかも知れません。
もちろん、観光スポットというものはありまして、まず、ガムラ・スタンと呼ばれる旧市街、ノーベル賞の晩餐会が行われる市庁舎、世界初の野外博物館スカンセン、レンブラントの絵が見られる国立博物館、そしてロイヤルパレス。ほかにも色々ありますが、主要なものとしてはこんなところでしょうか。
博物館関係は山ほどあるので、全部回っていたらお金と日にちがいくらあっても足りません。

NOVELBANSANKAI.JPG - 180,135BYTES ノーベル賞の晩餐会が行われる市庁舎のホール。

実は(でも何でもないけど)スウェーデンは王国でして、確か愛子さま出産の前後に、世界の王室特集みたいなのをテレビでやっていて、わたしはそれで初めて知りました。
街のいたるところで王室一家のポストカードが売られていて、日本の皇室との違いを感じました。雅子さま絵葉書とか、見たことないですもんね。
それから、スウェーデンの皇太子は女性なんですよね。ヴィクトリア皇太子。
知っている人もいるのではないでしょうか。ちょっとムチっとした、ゴリラっぽい姉ちゃんです(と書くと一体どんな女?!って感じですが)。
ロイヤルパレスのみやげもの屋には王室マーク入りのグッズや写真集がいっぱいあって、なかなか楽しめます。

これは完全に偏見だと思いますが、王室のある国って、けっこう文化水準が高いような気がするのですが、如何でしょうかね?
スウェーデン、イギリス、ブルネイ、モナコ、タイ、日本…って、単に物価が高いだけか(笑)。あ、タイは安いけど。
でも、歴史的に見ても、ブルボンやらハプスブルグやらはたまた中国の何とか朝など、王家のもとで花開いた文化って多いと思うんですよね。それだけ国が裕福だったってことなんでしょうか。カネのないところに文化は育ちませんから(前の会社で得た教訓)。

ROYALPALACE.JPG - 171,916BYTES ガムラ・スタン内にある王宮(ロイヤルパレス)。

さて、スウェーデンと云えば、児童文学の女王、アストリッド・リンドグレーンを忘れるわけにはいきません。
ドイツのKさん宅で、『長靴下のピッピ』のDVDを見せてもらったせいで、すっかりピッピに魅せられてしまったわたしは、是が非でも「アストリッド・リンドグレーン・ワールド」及びピッピの家”ごたごた荘”のあるゴットランド島に行かねばならぬ!という義務感に取りつかれ、本屋で血眼になって場所と行き方を調べました…が、スウェーデンでわたしに与えられた時間はたったの2日半。どう考えてもムリなのに、いったん行く!と決めてしまうと死んでも行かなくてはいけないような気がして(ビョーキですね)、何度も本屋と駅(時刻表確認のため)を往復しながら悩みに悩みました。「明日6時くらいにホテルを出れば行けるかも…」なんて。

だって、わたしはこの旅で、行きたいところは全て行くつもりでいたものですから、少しでも取りこぼしたら来た意味がない!なんて思ってしまったのですよね。
この1ヶ月、何度も何度も、何で旅に出たんだろう、何しに来たんだろう、と考え、何かを得なくては、何かをなさなくては、と必死で観光したり、或いは膨大な量の日記を書いたり、そんなことの繰り返しでした。
ありていに云えば貧乏性なのですよね。すぐに意味があるかないかとか、元を取れるかどうかとか(それは関西人気質かしら)ばっかり考えてしまって…本当に偏狭な性格です。でも怠惰だから結果は伴っていないんですけど。どうしようもねーな全く…。

ま、そんなことをぐだぐだ考えてストックホルムの1日目は終わってしまいました(何をやってるんだ)。
結局は、リンドグレーンワールドもゴットランド島も、時間がなさすぎるという結論に達し、リンドグレーンについてはあきらめて、ストックホルム市内観光に徹することにしました。

PIPPI.JPG - 143,273BYTES ガムラ・スタンの土産物屋に売っているピッピ人形。よく見ると可愛くない。

しかし、そんなわたしにも幸運の女神がちょっとだけ微笑みました。
それは、スカンセン(野外博物館)を見に行ったあと、さてこれからどうしよう、市庁舎もロイヤルパレスも行ったし、ヴァーサ号博物館(最古の軍艦が展示されている)でも行くか、それとも……と考えながらぶらぶら歩いていると、偶然「ユニバッケン」に遭遇したのです。

「ユニバッケン」とは?
アストリッド・リンドグレーンを始めとする、主に北欧の絵本文化を子供向けに紹介したアトラクション系のミュージアムです。
ストックホルムにリンドグレーン関係のものがないなんてヘンだなーと思っていたけれど、ちゃんとあったんですねえ。
ま、内容的には本当に子供向けで(子供の遊び場もある)、しかも入場料が学割で840円もするのですが、乙女的には入っておかねばならない
でしょう。
何がいいって、ここのミュージアム・ショップがめちゃめちゃ可愛い!可愛いものづくし!可愛いものを見ると本当に幸せな気分になりますねえ。
東京・根津の弥生美術館並みに魅力的な品揃えで、思わず貧乏旅行者という自分の立場を忘れて散財しそうになりました…でもやはり何も買わずには出られなくって(情けない)、ピッピのTシャツと絵葉書を買ってしまいました。ま、1300円くらいなんですけどね。もっと買えばよかった…って、すぐに調子に乗るわたし。ダメですね。

RINDOGUREN.JPG - 220,227BYTES ユニバッケンの側に建つリンドグレーンの像。 

改めて味わうと、絵本ってやつは本気で素敵。1冊の名作絵本は、1つの宝石にも値するように思います。
わたしもかつては色んな絵本を買い与えてもらったし、「かめのこ文庫」という地域図書館に通いつめて童話を読み漁ったものです。
『ぐりとぐら』とか『11ぴきのねこ』とか、『小さなモモちゃん』シリーズも好きでしたねえ…もちろんリンドグレーンの本も読みました。
急にそんなことを思い出して、妙に感傷的な気分になってしまいました。うちの親は両方とも本を全く読まない人たちなのですが、よくわたしをここまで本好きに育ててくれたものだなあと感心したり、わたしも子供ができたらいっぱい絵本を読んであげようとか思ったり、或いは子供の頃に戻りたい…なんて。

最後に、唐突ですがホテルの話をしましょう。
ストックホルムのユースはユニークなものが多く、例えばわたしが泊った「アフ・チャップマン」は、海軍の練習船をホテルに使用しているというものです。この特殊性のせいか、いつも予約がいっぱいらしく、わたしも泊まれるかどうか不安でした。でも、実際泊ってみると…ま、所詮は船っすよ(笑)。薄暗いし、狭いしねえ。1泊で充分かな。わたしも昨日は船に泊りましたが、今日はそのすぐ前にある普通のユース「シェップスホルメン」に移りました。全然こっちの方が快適。
立地はいいですね。湖の対岸にガムラ・スタンが見えるんですが、夜は最高に綺麗です。静かだし。
ほかにも、駅から遠いのでやめたけれど、昔の監獄を改装したユースというのもあって、従業員は全員縦じまの囚人服を着ているとか。面白そうだけど、アウシュビッツを連想しそうですね…。

ちなみに値段は、シーツなしで1800円。朝食はなし。これまでのことを思うと高!って感じですが、その分、超清潔で近代的だし、お湯もじゃんじゃん出るし、キッチンも使えるし、少なくとも日本のユースよりは安いし、コストパフォーマンスもよいですね。

明日はいよいよイギリスに発ちます。無事飛行機に乗れるのかなあ。。。

STOCKHOLMYAKEI.JPG - 136,737BYTES 「アフ・チャップマン」からガムラ・スタンを臨む。

(2002年4月12日 ストックホルム)

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