旅先風信41「日本」


先風信 vol.41

 


 

**日本**

 

日本だ日本だ。ついに、半年ぶりに帰ってきましたぜ日本。
罪人のごとく後ろ前そして両手に荷物を課せられた姿で近所の道を歩いていた時はどきどきしたね。明らかにあやしい出で立ちだから。

しかし日本、ものが豊富だねー。あふれ返ってるね。改めて思った。
久々に御堂筋なんか歩くと、女子の格好はお洒落だし、スターバックスとコンビニは等間隔にあるし、洋服屋がどこもかしこも可愛い!食べ物屋も中華から寿司からおされなカフェから何でもあり。本屋に入れば魅力的な本がぎっしり並んでいるし、ビックカメラなんか行った日にゃー違う星に降り立ったのかと思うくらいさ。物質天国だよねー本当に。
こんな世界で育ったわたしが、物欲強くないわきゃないんだよ(笑)。

帰って来たその日は、家で久々にネットつなぎ放題を享受し、「いいとも」やら「ピーコのファッションチェック」を懐かしく見て、夜は友人と道頓堀の「たこしげ」へ。
「たこしげ」というのは、吉本の若手芸人がよく来るという居酒屋で、日本を出る前お笑いにどっぷりつかっていたわたしと友人が、某芸人に出会うべく(笑)飲みに出かけていたお店。目当ての芸人には出会わなかったけど、安くてなかなか美味しいので、けっこう気に入っているのだ。
でも、つい昨日までイスタンブールにいたわたしには、一品300円から500円する料理というのは、バカ高く感じてしまい、「え?1杯飲んで、ちょっと食っただけで1300円もすんのー!?」と云って友人に呆れられてしまった。

次の日は法事。法事だから当然親戚一同集まって来るわけだけど、わたしは何しろ「イギリスにご留学」ってことになっているので、色々質問されて、それに話を合わせるのにちょっと苦労した。食べ物はどんな感じ?とか、どんな生活してんの?とか、英語は上達したん?とか、さらには「ちょっと英語で喋ってみてや」…すみません、ムリです。
とは云え、一応本当に留学―っても1ヶ月だけど―してたから、そこまで困らなかった。父ちゃんや弟くんが「イギリスに遊びに行きたい」と云い出した日にゃ、マジで焦ったけどな。「いやいや、ロンドンから4時間くらいかかるし、超ド田舎だからおもんないで」と必要以上に拒絶してしまった。しかし…大丈夫かこの先?!

その後は、ちょこちょこと友人に会ったり、家でホームページの手直しをしたり、部屋の片付けをしたりという毎日。
帰国したらあれもこれもやろうと思っていたわりには、それほど実のあることはしていない。
でも寿司は食べたな。焼肉も。美味かった。これは家族で行ったので、たらふく食わせてもらった。
会社の先輩やら後輩やら、学生時代の友人やら、ドイツで世話になったKさん(9月に帰国)もわざわざ遊びに来てくれて、ちょっとばかしアイドルのような状態であった(笑)。おそらく今回限りと思うけど…。でも、こんな風に「お帰りなさい」と云って歓迎してくれる友人たちがいることは、素直に嬉しい。

ところで、実家は何だかんだでやっぱり居心地がいい。安心しすぎて、毎日昼まで惰眠をこいていた。
母親がいなくなってからというもの、家族の結託が妙に強くなり、自分でも信じられないくらいに家族と仲良しなのだ(のわりに、この旅のことは話せずにいるが…自己矛盾)。法事に来ていたある親戚も、「お母さんがいないのに、明るい家族やねー」と感心していたほど。明るいと云うより、単に享楽的になってしまっただけなんだが…。娘も息子もすっかりダメ人間と化しているのに(笑)、父ちゃんは、一応文句は云うものの、甘やかしっぱなしである。マジメで典型的な公務員体質だったはずの父ちゃんが、今や「どうせ生きるんやったら楽しく生きなアカンやろ!」などと云い出す始末。事実、そいつを実践していて、たまに家に電話したら、半分くらいの確率で父ちゃんは飲みに出かけていて、家にいないのだ(笑)。いつまでこんなに浮かれておれるのか、ちょっと心配ではあるけれど…。

どんどん話は飛ぶけれど、久々に行って感動した場所。
ヴィレッジバンガード。昔から好きだったけど、やっぱりここはいつ来ても楽しい。物質天国ここに極まれり、と云った感じで、まあ高いものはそんなにないけど、物物物でてんこもり!本本本、雑貨雑貨雑貨、CDCDCD…いくら節約せねばならんからと云って、ここで何も買わずに出るというのはムリな相談だった。思わず「ゴシック&ロリータバイブル」4.5.6をまとめ買いしてしまった…タイトルを見れば分かるように、現在、最も必要のない本である。
ほかにも面白い本が満載で、購買欲を押さえるのに必死だった。ひとつ残念だったのは、ヨーロッパ各所で、「日本よりは安いだろー」とか「日本には売ってないだろー」という見解のもと買い込んできた洋書のいくつかが、こっちで同じくらいの値段で売っていたこと!しかも、ご丁寧に訳本まで出ているものまであった。何で?!高い送料出して送った意味ねーやん!…こういった点からも、いかに日本に物があふれているか、がうかがえるというものだ。

あと、感動したと云えば、100円ショップ。
ほんと、何でも売ってるんだもんなあ。日本に帰って来たらそろえようと思っていた旅グッズが、質はともかくここでほぼそろってしまうのだ。衣類圧縮袋、方位磁針、計算機、シャーペンの芯(最近は長芯がある)、電池、南京錠、ボディグローブ…などなど。多分ないだろー、と思いつつ一応「○×ありますか?」と尋ねると、あるんだよこれが。質はともかくとして。以前、100円ショップで買ったナベが、火にかけた途端爆発したというニュースがあったらしいけど、まあとにかく品揃えの豊富さに関しては文句なしにすごい。
ちなみに、わたしが行った100円ショップの下にはドラッグストア「ダイコク」(関西圏のマツキヨみたいなもん)があり、このビルだけで買い物の7割は終わるんじゃねーの、という勢いだったわ…。

ビックカメラ&ヨドハシカメラもすごかった。
パソコンもデジカメも、次から次に新しい機種が出てるし、家電も性能のいいのが「え?こんな値段で?」というような価格で売られている。ついついコンポとか欲しくなってしまったじゃないか。浜崎あゆみの宣伝してるPanasonicのやつ…って、それ、今一番いらんものやし!
旅なんかやめて、このまま日本に定住して、1人暮らしを始めた方が楽しいような気さえしてくる。

帰ったらいろいろ、人から薦められた映画(ビデオ)を見ようと思っていたけれど、それは叶わなかった。
理由はもちろん己の怠惰。『風の谷のナウシカ』だけは一応見ておいたけど、焦って見たせいか、正直、それほどの感動が…。ナウシカのスカート丈が異様に短いことだけが頭に焼き付いている(ああ、全世界のナウシカファンから袋叩きにあいそうな感想)。

あとは…何だろうな。
いろいろ驚いている風ではあるけれど、実のところ、日本での生活にあっと云う間になじんでしまったのも事実なのだ。
あのややこしい梅田の地下道を歩いても別段迷わないし、京都の名曲喫茶を見つけるのにもさほど苦労しない。何時に何のテレビがやっているかだって覚えている。まあ半年くらいでは仕方ないんだろう。
その一方で、女子の化粧と服装がキレイではあるがあまりにも均一なのに驚愕し、普通に働いている友人たちのややせわしない話を聞くにつれ、自分が一体何者なのか分からなくなったりもする。

……

思いつくまま、日本でのあれこれを書いてみました。
今まで以上にとりとめがないのは許して下さい。これは本当にただの独り言ということで。

(2002年10月某日 大阪)

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