こんばんは。ラトヴィアは首都リーガ、駅前の安ホテルからお届けしています。 安ホテルっていうのは侘しいもんですね。でも久々の個室なのでパソコンやりたい放題。
ヴィリニュスのオールドタウンYHに沈没しかかっていたわたしも、何とか次なる国・ラトヴィアに来ることができました。 しかし、いつの間にか1時間ほど時差が生じていて、何だか損した気分。 今日はラトヴィアに入る前に、リトアニアのシャウレイという町にある、「十字架の丘」に行って来ました。
…と書くと実に何でもないことなのですが、実際に行くとなると、いろいろと厄介なことがあるものです。 今日もご多分に洩れず、バスの本数がない、手持ちのリタス(リトアニアの通貨)がギリギリしかない、などの理由により、目的地にたどり着くには多少の困難と心労を伴いました。まあ結論から云えばユーロ払いでタクシーに乗って行くことができたというそれだけなんですけどね。でも無事に駅に帰ってくるまではタクの運ちゃんも何となく信用できなかったりして…。
にしてもこの十字架の数!写真はほんの一部にすぎません。 大きなものから小さなものまで(ヤンマーかいな)、木でできたもの、鉄製のもの、カラフルなもの、木箱のついたもの…実にさまざま。リトアニアの三色旗に塗られた十字架もありました。 どのようないきさつで十字架を建て始めたのかは、勉強不足ゆえよく分かりません(すみません、また調べときます)。ただ、旧ソ連占領時代には例のKGBなどが何度も焼き払ったのですが、後から後からまた誰かが十字架を立てていって、このようなものすごい状態になったのだそうです。ソ連に対するささやかな抵抗だったのでしょう。いかにもリトアニアらしい場所です。
足元にも小さい十字架がいっぱい落ちている。
ところで、いきなり話題は変わって、以前もどこかを旅していたときに思ったこと、旅先で声をかけてくる人を信用してもいいのか否か、について書いてみようと思います。
基本的には、声をかけてくる人は下心がある、というスタンスです。 親しげに声をかけてきて、仲良くなったところでいきなり暴行を加えるとか、はたまた最近流行の睡眠薬強盗―これは睡眠薬入りの飲み物や食べ物を薦めてカモが眠ったところで金品を奪うというやつですね―とか、このテの話は枚挙にいとまがありません。 リトアニアのYHの情報ノートでも、殴られて金を盗られた日本人の体験談が書き込まれていましたっけ。何でもこの人は血だらけで日本大使館に駆け込んだことで大使館では有名人だそうな…(サダさん談)。
まあ、自分が日本にいるときのことを考えても、外人の旅行者などに自分から話しかけるなんてことはしませんからねえ。 それに、経済水準の低い国なら特に、莫大なカネを持ってぷらぷらしている日本人がいたら、カモってやろうと思うのも当然ちゃあ当然です。だって、いきなり月収、下手したら年収くらいの金が一発で手に入るわけですから…。 日本人が世界の人に好かれているとも到底思えないし。日本人=カネくらいにしか思われていないかも知れません。
ちょっと前置きが長くなりました(え、前置きだったの?)が、今日わたしに声をかけてきたのは、タクシーの運ちゃん(アゼルバイジャン出身…と自ら云ってた。その時点であやしさ倍増。国差別じゃなくて出稼ぎって意味で)、リーガ行きのバスで近くの席に座っていた、ウォッカをらっぱ飲みしているおっさん二人組みでした。 …と書くと如何にもあやしげですね(笑)。わたしは警戒しまくりでした。だって、おっさんは旅行にどれくらいカネがかかったかとか聞いてくるしねえ。money、って言葉が出てきたらもう決定的にダメです。あと、Japaneseか?っていうのと。 でも結果的には何もなくて、運ちゃんはわたしを和ませようとしてか「タムラ、ジュードー、チャンピオン!」なんて明るい声で云ってくるし、ユーロ払いでOKしてくれたし(これで両替の手間が省けて助かった)、おっさんの一人はリーガのバスターミナルに着くと、迎えに来ていた可愛らしい娘さん(奥さんかも)と仲良く帰って行きました。
で、わたしはその後姿を見ながら思ったのです。
わたしは、こんな異国の地に、わざわざ人を疑いにやって来たんだろうか。 有名な遺跡や建物さえ見られればそれでOKなのか。 実際にここに住んで生活している人のことはどうでもいいのか。
もちろん、分かり合うことなんてできないけれど、いつもいつも警戒して怖い顔で街を歩くだけなんて、何だかとても失礼なことをしている気がしてなりません。 わたしが逆の立場だったら、何しに来たんだコイツは、って思います。そんなに日本人が嫌いなら旅行に来るな、って。
…難しいですね。 まあ何が一番大事って、自分の身の安全ですから。 今んとこまだ大丈夫だけど、もし何かあってもおそらく同情の余地なしと判断されるでしょう。 パソコンなんか持って行くからだ、女一人でぷらぷらしているからだ、言葉もロクに喋れないくせに…云われても仕方ありません。 その上での一人旅、なのですから。
今回の件にしても、タクの運ちゃんもバスのおっさんも実はカモろうとしていたかも知れないですしね(笑)。 特に経済格差のある国では、どうしても避けて通れない問題です。 警戒しなきゃいけない分、経済的な恩恵は受けているわけなので、差し引きゼロってことこですかね。
今回も脈絡ないですね。すみませんです。
十字架の丘もう一枚。
(2002年4月7日 リーガ) |