旅先風信37「ギリシャ」


先風信 vol.37

 


 

**ギリシャ・聖闘士☆矢編**

 

すっかりビーチでボケてしまいました。。。

しかし、わたしのギリシャでの真の目的…それはビーチライフではなく、『聖闘士星矢』なのでした。
オタクの烙印を押されるのを承知で云いますが、わたしはこの、かつて一世を風靡した少年漫画「聖闘士星矢」(以下星矢)の大ファンです。
連載がとうの昔に終わった今はともかく、初めてこのマンガを知った小学5年生のときは、寝ても冷めても星矢の日々。それまでジャンプのマンガと云えば、「きまぐれオレンジロード」と「ついでにとんちんかん」しかまともに読んでいなかったのに、急激に星矢に傾倒してしまったのです。

きっかけは、今でもはっきりと覚えているのですが、隣の席に座っていた男子の缶ペン(何という懐かしい響き)をふと見ると、そこに超カッコいい青年が描かれていました。それが何を隠そう、星矢の主要キャラの1人、ドラゴン紫龍だったのです(ああ、オタクだ…)。
それ以来、それまで大して仲良くもなかったその男子に、「なーなー、これってどういうマンガなん?」「このキャラは何者なん?」「つまり、黄金聖闘士というやつらが一番強いんやな?」と、毎日のように質問攻め。星矢つながりですっかりお友達になってしまいました(笑)。

知らない人のために説明しますと、『聖闘士星矢』とは、ギリシャ神話の女神アテナを守る聖闘士(セイント)たちの戦いを、神話をベースに描いた一大スペクタクルロマンです。たかがマンガとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、いやいや、このマンガは本当によくできています!スケールがでかいです。ギリシャ神話というバックボーンがあることで、すべてにおいてものすごい説得力がありますしね。「…彼らは”アテナの聖闘士”と呼ばれていた」とか「世の中が腐敗したとき、アテナの魂は現代によみがえる」…なんて、実際にはないんだけど(笑)、何だか真実味があるでしょ?
星矢にはまったのは、紫龍がカッコよかったというのもあるけれど(笑)、もともとわたし、ギリシャ神話が好きだったんですよ。オリンポス十二神とか、ああいう、階級分類みたいなのが好きなのと、星座好きだったもので。全く理系の人間ではないけれど、天文学だけは興味がありましたね。

コミック全28巻は大きく3つの話に分かれています。それぞれ「十二宮編」「ポセイドン編」「ハーデス編」と呼ばれていますが、何と云っても「十二宮編」!これは傑作!
まず、12星座の別称である十二宮(ex:おひつじ座なら白羊宮)を実際に存在するものとして描く発想が、真っ当ながら実にうまいなー、と思ってしまう。この十二宮には、各宮を守る黄金聖闘士というのがいるんですよ。ファンになりたての頃は、黄金聖闘士の名前を覚えるのに一生懸命でしたね(笑)。
男子的視点でいくと、聖闘士のまとう聖衣(クロスと読みます。この当て字もカッコいいよね)がまた面白くて、例えば主役の星矢はペガサスの聖闘士なんですけど、ペガサスの聖衣は装着していないときはペガサスの形なの。で、装着時に勝手に分解してアームやマスクになるんですよ。男子的にはこのプラモ感覚が楽しいですよね。バンダイから聖衣のおもちゃも出てましたっけ…と、話長すぎですか?(苦笑)

長くなりついでに十二宮編のあらすじをとってもカンタンに説明しますと、女神アテナの化身である城戸沙織と、彼女を守る青銅聖闘士、ペガサス星矢、ドラゴン紫龍、キグナス氷河、アンドロメダ瞬、フェニックス一輝の5人が、自らが聖域と世界に君臨すべくアテナを抹殺しようと企む教皇と戦うというお話。ま、大筋は勧善懲悪ですが(少年マンガはみんなそうだよね)、それで片付けるわけにはいかないスケールと深さがあります。小道具やエピソードなどのディテールも素晴らしいです。
未読の方は、コドモの読みもの、古くさいマンガだなんて思わずに、ぜひ読んでみて下さい。女の子でも全然楽しめますよ。

で、そろそろ本題(ギリシャ観光)に入りたいと思いますが、ここからも相変わらずオタクな話満載でお送りいたします。多分ついて来れない人もいっぱいいると思うけど…ごめんなさいね(でも好きなんだもん)。

まずは、何はさておき、女神アテナを祀るパルテノン神殿へ。
ここは何と入場料が12ユーロというとんでもない値段で、学割も、わたしの持っているユーストラベルカードではダメだと云われ(何でやねん!このカードは謳い文句が”国際学生証とほぼ同等の割引を受けられるカード”のはずなのに…)、10分くらい入るのをためらいました。
しかし、ここまで来て、入場せずに帰っては星矢ファンとして失格です。だって、この神殿は、十二宮編の最後の戦いの場面、教皇の間およびアテナ神殿のモデルになっていると思われるからです。
ギリシャで1.2を争う有名観光スポットだけに、雲霞のごとく観光客が押し寄せており、加えて工事中ということで、遠き神話の時代を思い起こさせるような風情は全くないのですけど、頑張って想像力を働かせればそれなりに楽しめるものです。
普通の観光客には見えないでしょうが、わたしは、神殿へと続く階段に、アフロディーテの魔宮薔薇(デモンローズ)が敷き詰められているところを想像し、「ああ、ここを星矢は通って教皇のところに行ったのね」と勝手な感慨にふけっておりました。

ATHENS12.JPG - 40,701BYTES パルテノン神殿。ここで聖闘士たちの熱い戦いが繰り広げられた(ウソ)。

その次は、アテネからバスで2時間のところにある、スニオン岬のポセイドン神殿へ行きました。
ここもこことて、星矢ポセイドン編の舞台となった場所。その悪の性質ゆえ、堅牢なスニオン岬の牢獄に閉じ込められていたふたご座の黄金聖闘士サガの双子の弟カノン(ややこしい説明)が、偶然にポセイドン神殿(マンガでは海底神殿)を発見し、彼は、自らを閉じ込めた兄サガとアテナに復讐を果たすべく、そこに封印されていたポセイドンの魂を復活させます。
このポセイドンの現身となったのが、ギリシャの海商王の息子ジュリアン・ソロで、一時はアテナ・城戸沙織にプロポーズをしたこともあったのですが、やがてポセイドンとなったジュリアンは城戸沙織と敵対することに…というのがポセイドン編の始まりです。
ポセイドン神殿は、想像や写真よりは小規模なものでした。でも、風の強いスニオン岬の断崖に立つと、確かにここにポセイドンの魂が眠っていそうな、そんな気にさせられます。思わず「永遠ブルー」(星矢アニメのエンディングテーマ)をリフレインしてしまいました。

SOUNIN4.JPG - 19,649BYTES ポセイドン神殿から海を臨む。ここの海は本気で綺麗。非常に純粋な“青”色なのです(写真では分からんけど)。

そして、ギリシャの観光スポットの中でも圧倒的な異彩を放つメテオラ。ここも、あくまで星矢中心で説明しましょう。
十二宮編の最後に明かされるエピソードとして、前教皇が現教皇に暗殺されたという話があります(今後読む人のためにちょっとぼかして書きます)。その暗殺現場となったスターヒルというのが、十二宮の近くの断崖絶壁の上に建っている(という設定)のですが、これは、メテオラの修道院をモデルにしたものと、わたしは踏んでいます。

実は以前、ロンドンのミレニアムホステルに泊っていたとき、そこで仲良くなった3人の男子パッカーに「ギリシャに行ったらメテオラに行きたいんですよ。だってあそこは『聖闘士星矢』の…云々」と話したら、3人のうちの1人から「ああ、教皇の殺されたとこですよね!」という反応が返ってきたんですよね。ま、他の2人は首をひねっていましたが(笑)。だから、この予想は絶対当たっているはずなのです。賭けてもいいわ。ビザンチン様式の質素な建物もそれっぽいし。メテオラの修道院は、いずれもビザンチン様式のギリシャ正教の教会なのです。
話はちょっと飛びますけど、ギリシャに入って以来、何故かイコンに異様に興味を示してしまうわたし…何なのか自分でもよく分かりません。

ちなみにスターヒルというのは、教皇が星によって吉凶を占うための場所で、教皇以外の人間は立ち入ることができない神聖不可侵の至高聖所という設定になっています。
実際のメテオラもかなりすごいですよ。”そそり立つ奇岩の上に在る修道院”。実に不可思議な、というかありえない光景です。こんな岩の上に修道院を建設しようという発想がまずありえない。今はちゃんと階段がついていますが、以前は紐をつけた網で人を吊り上げていたらしいですからね。ま、黄金聖闘士なら自力で登れそうだけど(笑)。
ただここも、例によって観光客満載で、特に、老いも若きも厚化粧な団体ツアーの日本人女たちにはヘキエキ…ムードぶち壊しだよ…。

METEORA48.JPG - 29,972BYTES スターヒル…じゃなくてメテオラの断崖絶壁の上の修道院。修道院は全部で6つある。

他、遺跡関係ではオリンピア、スパルタ、ミストラへ行きました。
この辺は聖闘士星矢と直接は関係ないのですが、巨大な柱がゴロゴロ転がっているのを見ると、やはり思い出すのは聖闘士星矢(笑)。まあ、星矢ヌキでも、わたしは廃墟大好き人間なので、もちろん古代遺跡にも興奮します。
オリンピアではモモさんという、ギリシャ大好きなお姉さまに出会い、いろんなことを教えてもらいました。その場所が好きな人と一緒に行動すると自分の旅も楽しくなりますよね。美味しいものや、素敵な場所をたくさん知っているからね。

オリンピアもミストラも素晴らしい遺跡ですが(どちらも世界遺産)、個人的に一番気に入ったのはスパルタの遺跡です(おそらくモモさんも同意見ではないかと踏んでいる)。何でも、かの沢木耕太郎もここを訪れ、「観光地化されたアクロポリスよりも風情があっていい」みたいなことを書いていたらしいですが、なるほど、この遺跡は全く観光地化されておりません(笑)。
入場料なんてものもなく、ただ申し訳程度に「遺跡はこちら→」みたいな看板が立っているだけ。この見捨てられ加減こそが遺跡の醍醐味です。確かに、あまりにも観光地化された遺跡はもはや遺跡とは別の何かになってしまったような気がする。

ガイドブックには、(スパルタは)かなりショボいようなことを書いてありましたが、何の何の、立派なもんです。そりゃ、入場料取っているようなところに較べたら崩れていたりするのかも知れないけど、ここなら遺跡を独り占めして、遺跡でかくれんぼだって出来そうですからね。オリンピアみたいに、石の上に乗ったら警告のフエが鳴らされる、なんてこともないし。
散歩ついでに行ったはずが、結局日が落ちるまでここで遊んでいました。今思えばすごい
贅沢なことしてますね。

SPARTA12.JPG - 29,554BYTES 誰もいない夕暮れのスパルタ遺跡。

ギリシャの遺跡はあまり保存状態がよくない、と人から聞いたことがありますが、それでも、本場で見る遺跡は、例えボロボロであっても雰囲気があっていいものです。時間とお金に余裕があれば、ミケーネやデルフィにも行きたかったですね。ま、基本的にはどこも同じで、あんまりたくさん見続けるとゼッタイ飽きてくるんでしょうけど。
何にせよ、分かる範囲で星矢の舞台に行けたので、良しとしましょう。


(2002年9月15日 テッサロニキ→ソフィア)

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