旅先風信36「ギリシャ」


先風信 vol.36

 


 

**ギリシャ・魅惑のビーチライフ編**

 

いやはや、ここ数日すっかり日光浴にはまっていて、己のキャラに似合わずビーチライフにいそしんでおりました。
おかげで全身真っ黒。でもまだ焼き足りない…なんて、すっかり乙女失格です。嶽本野ばらファンの乙女からは総スカン喰らいそうな黒豚っぷり。日焼けして黒くなるくらいなら死んだ方がマシですわ!とか云われたりしてな。ま、いいけど。
何でこんなに焼いているかというと、スペイン、モロッコ、チュニジアあたりで腕だけが焼けて(と云うよりもはや焦げている)しまい、そこだけごぼうみたいでカッコ悪いんですよね。どうせなら全身焼いた方が少しは格好がつくかと思いまして。

それにしても…日光浴はいいよ(笑)。
ドブロブニクの回でも少し書きましたが、太陽の下で寝転がっているうちに、睡魔が忍び寄ってきて、とろとろと眠りに落ちて行くあの瞬間が最高なんですよねえ。脳みそがアイスみたいに溶けていって、「あーもう何も考えらんねーやー、でも何も考えなくていっかー」なんて思いながらそのまま眠っていく気持ちよさ。幸せってこんな感じ?みたいなね(笑)。
別にわたし、アウトドア人間でも何でもないけど(キャンプとか興味ないし)、太陽って偉大な存在だなあと思います。だってほら、天気の悪い日は何となくイライラしたり鬱っぽくなるでしょ?以前、チュニジアで便乗旅行した、フローリアンとクスカのスイス人カップルが、血眼になってビーチサイドのキャンプ場を探していたのを、半ば疑問に感じていたけれど…今ならワカル。うん、ビーチライフは大事だよね(笑)。
しかし、こんなに焼いて、後で皮膚ガンとかになんないよな…?

魅惑のビーチライフの始まりはミコノス島でした。
ギリシャで見たかったもののひとつが、”青いエーゲ海に浮かぶ白い町”。これまでも、例えばスペインにも”白い町”で有名なカサレス村ほか数々の白い町スポットがあり、食指をそそられてはきたものの、「いや、白い町はギリシャまで我慢だ」と自分に云い聞かせてきました(いや、単に金が無かっただけなんですが)。そのイメージの最たる場所がミコノス島で、ずっと昔から、わたしの中での白い町と云えば=ミコノスだったのです。
実際のミコノスタウンはと云うと、本当に白いです(何のヒネリもないな…)。ここまで他に浮気しないで待っていたかいがありましたね。スペインやモロッコ、チュニジアでも”わりと”白い町は見ましたが、ミコノスタウンは白純度が高い。教会も真っ白。白い壁と云えば青いドア、が定番ですが、ここは緑や赤、灰色など色々な色があって目に楽しいです。
また、この白さを際立たせるかのように、海が非常に美しいん
ですよ。本当に青くて透き通ってる!どこの海を見てもそれなりに感動するわたしですが、ここの海は、初めて見た瞬間、思わず声を上げてしまったほどです。さすがエーゲ海、世界に名だたるリゾート地だけのことはありますねえ。

MYKONOS25.JPG ウワサに違わず白いミコノスタウン。

さて、ミコノス島には有名な”パラダイスビーチ”というビーチがありまして、ここにキャンプ場があるというのでとりあえず行ったところ、コテージが何と15ユーロとのこと。は?アテネで1泊8ユーロで泊っていたわたしにそんな大金は払えません。値段表を見ると5ユーロというのがあるので「これにして下さい」と云うと、それは寝袋で野外寝の料金でした。寝袋はもちろん持っていないのですが、一度野宿を体験してしまうと、まあ何とかなるやろ、なんて思ってしまうものです。

…しかしこれ、本当に野宿以外の何物でもありませんでした。下の写真が物語るように、砂地の上にゴザ敷いて寝てるだけです(ちなみにこのゴザは拾ったもの)。セイフティボックスはまた金がかかるしで、バックパックも野外に放りっぱなし。何故か転がっているコンクリートブロックを棚代わりに(笑)して、一応寝床らしく整えてはみるものの…。
ちなみにここ、背面はコンクリートですが、左右は竹で編んだ壁、正面は何にもなしです。夜、寒いです。レセプションの兄ちゃんにも、「寝袋持ってないんだったら寒いぞ」と云われていたけど、本当に寒かった。。。ありったけの服を、まるでラッキョウのように着込んで寝てはいましたが、それでも風が冷たいのか、夜中に何度も目が覚めるんですよ。この真夏にスパッツはいて、ジーンズはいて、その上からさらに綿パンまで着ているのに!よっぽどホッカイロ使おうかと思いました。でも朝になるととたんにめちゃめちゃ暑くなって、目が覚めると全身汗ばんでいるという…身体にわりーな。

MYKONOS36.JPG - 45,050BYTES わが寝床。世捨て人みたいだ。。。

しかし、寝床は貧しくとも心は錦(使い方間違ってますね)、ってなわけで、ビーチライフはそれなりに満喫しました。寝床が貧しい分、食事で取り戻そうとでもいうのか、結構高いビーチのレストランでばくばく食ってましたからねえ。昼間は、デッキチェアに転がって本を読みつつうたた寝しつつ、気が向いたら水浴びしつつ、夜は寝床に戻りたくないので(笑)、レストランで日記を書いたりぼんやりしたり。
でも、こういうのはミコノス島での本来の楽しみ方ではないですね。ミコノス島はパーティー島ですから、毎夜クラブナイトです。と云っても、ちゃんとしたクラブがあるわけではなくて(ミコノスタウンの方にはあるんだろうけど)、野外のバーがディスコと化すわけです。わたし、これまたキャラに似合わず結構好きなんですけど、さすがに1人で、バーのカウンターの上では踊れなかったです(笑)。欧米人はもう、バカみたいに踊ってました。腰つきがめちゃめちゃ勇ましいシャキーラみたいな姉ちゃんとかいましたね。暗くなったビーチでデッキチェアにもたれて、ガンガンかかっているダンスナンバーを聴いているのも、それはそれで悪くはないけれど、うーん、やっぱりこういう場所はグループとかで来て、ベロベロに酔っ払ったりしてはじけまくるのが楽しいだろうなあ。

ちなみに、パラダイスビーチとそのお隣にあるスーパーパラダイスビーチは、ヌーディストビーチとして有名なのですが、実際にはそんなにヌーディストはいませんでした(全体の3パーセントくらい)。実は、スーパーの方はゲイのメッカ。ブダペストのホモスポットであるキラーイ温泉に行けなかったリベンジを果たすべく、わざわざ往復4ユーロも払って出かけていきました(好きだねーわたしも…)。
ちなみに、キラーイ温泉はその道の人々のみならず旅人の間でも有名な場所で、情報ノートおよび目撃情報によると、チ○チ○をしごきあっていたり、咥えていたり(しかも老ゲイらしい…)と、かなりスペクタクルな光景が繰り広げられているらしいのです。ただ、残念なことに(?)、男子と女子の入浴曜日が分かれていて、その楽しい風景をこの目で見ることは叶わなかったのでした。
スーパーパラダイスビーチには、ゲイと思しき人はいましたけど(ゲイ好きのわりにその辺の見極めが甘い)、そんな、しごきあったり咥えたりはしていないし(ま、それが普通です…)、期待していたほどではなかったですねー…って、何期待してんだか(笑)。

そんなミコノスも、やはり寝床がゴザでは長居する気にもなれず、次の目的地であるサントリーニ島に渡りました。
ここも、エーゲ海の島々の中ではかなり人気どころでしょう。火山によって出来たというこの島は、謎のアトランティス文明の地ではないかとも云われています。

港には客引きがごったがえしていて、何となく引っかかってみて交渉すると、15ユーロのところをあっさり10ユーロに下げてくれると云うので、ホントかよ、とは思いつつも付いていくことに。しかし、そのホテルが何とプール付きで、部屋もダブルベッドの大きな部屋。当然シャワートイレ付き。こういう場合、必ず悪い方に転がっていくのが、わたくしの旅路なのですが、今回は思いもかけずなかなかよい展開になりました。
このホテルはペリッサ村というところにあり、有名なブラックビーチまでは歩いて10分弱です。ミコノスでビーチライフに火がついたわたしは、当然ながらホテルに着いたとたん、ビーチへGOです。いつからこんな海好き人間になったのでしょうか。ちなみにBGM(脳内)は『渚にまつわるエトセトラ』。ほんと、キャラメル気分なんですよ(何のこっちゃ)。このブラックビーチというのは、火山の島サントリーニの名物ビーチで、このペリッサと、もう一つカマリという町にもあります。その名の通り、黒砂のビーチなのです。砂、と云うよりは小石ですね。これが、太陽熱を含みまくって、日中は裸足で歩けないほど熱くなります。その上にゴザを敷いて(デッキチェアは金がかかるので)寝転ぶと、ちょうどあったかくて気持ちいいんだよう〜。ビーチも、ミコノスのそれとは違って、広々していて、とっても静かです。手持ちの本も読んでしまったし、いよいよやることないんですが、でももはや、寝転がっている自体が有意義な行為なのでして。これぞビーチライフ。欧米人が、伝説のビーチを求めて世界を旅する気持ち(例:映画『ザ・ビーチ』)も、今なら少しは理解できる気がします。

SANTORINI7.JPG - 28,505BYTES こちらも負けていない白さ。サントリーニ島・フィラタウン。

ま、でもこれも、日本に帰ってもやるかと云うと、多分やらないだろうなあ。日本の海だとビーチライフって云うより、忙しい合い間を縫って半ば無理して楽しむレジャー、みたいな感じで(説明ややこしいね)、何となく湿っぽいイメージっつーか。。。
水着になるのがイヤだったのも、日本だからであって、こっちに来ると不思議と何ともなくなるもんです。欧米人はみ〜んな足が長くて、わたしは超短足だけど、そんなこと別に気にならなくなる。ま、足長い代わりに三段腹の人いっぱいいるし。
あと、ビーチの楽しみ方って、泳ぐばっかりじゃないんですね。むしろ、泳いでいる人は少なくて、みんなただただビーチに転がっている。日本のビーチライフってどんななのかよく知らないけど、やっぱり何となく、色んなことがせかせかしているようなイメージがあるんですよね。

せかせかと云えば、貧乏性のわたしもやはり、1日中ビーチでごろり、なんてゼータクな時間の使い方はどうしても出来なくて(情けない)、相も変わらず午前中から町やら遺跡やらを観光して、午後3時頃ようやくビーチもしくはプールに行って、涼しくなるまで肌焼いて、という感じです。1泊10ユーロだし、1日くらいなら延びてもどうってことはない気はするのですけど、それでも何となく先を急いでしまう己のセコさ。。。
結局サントリーニ島には3日しか(しか?)いませんでした。最終日の今日はのんびり、と云うより半ば必死で寝転がっておりました。プールで1時間ほど泳いでその後休む間もなくビーチへ行って、これまた1時間くらい日光浴して、ともはや事務化している始末。。。貧乏性ってもしやある種の病ではないのかしら?(貧乏症?)
それはともかく、サントリーニ島はいいところでした。ブラックビーチのほかには、ホワイトビーチ、レッドビーチもあり、町もミコノスに負けず劣らず白いし、古代遺跡もあるし、火山も温泉もある(行ってないけど)と、かなり盛りだくさん。加えて、わたしの泊っていたホテルは、徒歩1分のところにスーパーがあるという素晴らしい立地条件だったので、危うく沈没しかけるところでした。ただ、1人では沈没しようにもしきれないですけどね。

SANTORINI37.JPG - 35,427BYTES 黒いビーチ・ペリッサ。裸足で歩くと火傷します。。。

しかし、一言云いたいのですが…ゴミはゴミ箱に捨てろ。観光客ども。
道端は当然の如く、海やビーチにもやっぱりゴミ捨てるやつがいるんだよ。別にわたし、エコ推進者でも何でもないですけど、あれは単純に美しくないから嫌。あのミコノスの青い海に、ペットボトルやスナック菓子の空袋がぷかぷか浮いているのを見た時にはめまいがしそうになりましたよ…。もしかしたら地元民もやってんのかも知れないけどさー、少なくとも、美しい場所を求めてやって来ているはずの観光客が、自らの手でその場所を汚してどうすんだよ。本末転倒じゃないのか。ゴミくらい、ゴミ箱に行くまで捨てるの待てないのかよ。ばか、ばか。ペリッサのビーチにも、山ほどタバコの吸殻が散らばってて、本っ当に気分が悪かった。喫煙者は携帯用灰皿を持て。携帯電話を持つ前に。

でもさー、哀しいことに、そんなバカな観光客によって島の経済はうるおってんのさ。多分。資本主義だよねえ。
資本主義と云えば、明らかに客の入っていないレストランとか見ると、本気で悲しく
なるのはわたしだけでしょうか?うちのホテルの近くにも、まさにそういう1軒があって、値段とか見るとレストランにしては良心的なのに…立地のせいもあるのかな。そう思いつつも、わたしはその時スーパーで大量に食料を買ったあとだったので、どうしようもなかったのですけど、白いコック服を着たおっちゃんが、「客来ないなー」みたいな感じで玄関から出てきて外を見ていたのが何ともやるせなかった。

それにしても、リゾート地の冬って、どんな感じなのでしょうね?
夕方、ビーチから帰ってきて、近くを散歩していると、本当にここは小さな、素朴な村なんだなーということを実感しました。ミコノスもそうです
。馬やヤギが普通にいて、パーティだ何だと盛り上がっているのは、島のほんの一角に過ぎないんですよね。島の大半は緑も生えない岩山で、冬はかなり荒涼とした風景になりそうな雰囲気でした。夏はビーチ、冬はスキー、って場所でもないですしね。

またまたとりとめがなくなってしまいました。今回はこの辺りで終わりにします。

(2002年9月5日 サントリーニ→アテネ(船))

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