旅先風信17「オランダ」


先風信 vol.17

 


 

**セックスとドラッグと私**

 

Kさんとアルバートに見送られて、次なる国、オランダにやって来ました。
バリバリのオリーブ娘Kさんをして「今まで行ったヨーロッパの国で一番乙女的」と云わしめたオランダ。
わたしの中でもオランダは、ミッフィーと風車&チューリップの乙女チックな国であり、首都アムステルダムは雑誌『relax』のイメージ、つまりおしゃれでアートな人と物が満載の都市…のハズでした。
しかし、実際のアムステルダムは、と云うとセックス&ドラッグ&セックス&ドラッグ&セックス&ドラッグ&セックス…(以下同文)

初日はすっかり毒気に当てられてしまいました。
アムステルダム中央駅前からYHに向かって歩く道すがら、いきなりかの有名な「飾り窓」(正式名称は"red light district")に出くわし、唖然…。
「飾り窓」って、2階や3階の窓辺にシュミーズ姿のお姉さんが腰掛けているもんだとばかり思っていたのですが、実際は建物の1階部分にガラス張りのドアがあって、そこにブラジャーとパンティのみを身につけた女性が立っているのです。びっくりするようなぶよぶよのおばさんもいたりして、えらいもん見てもうたなあ、という感じ…。

そして、もう一つ有名なコーヒーショップ("coffee shop")もそこら中にあるある。
ご存知でない方のために説明すると、コーヒーショップとは、文字通りの意味とは違って、いわゆる"ハッパ"を吸いに行くところです。
オランダは世界で唯一ドラッグが合法の国。
ドラッグをやるためだけにアムステルダムにやって来る旅行者もたくさんいます。
店内は薄暗く、前を通るとほんのりと甘い匂いが漂ってきます。

AMS10.JPG - 54,613BYTES コーヒーショップ(左)カーテンが閉まっている飾り窓(右)。

そんな素敵な(不敵な)アムステルダムですから、「セックスミュージアム」なるものが駅前の目抜き通りに堂々と存在しています。
ここはKさんもオススメの、オランダ版”秘宝館”。
その名の通り、どこを見渡してもセックスセックスセックス…いやらしいと云うよりもはや可笑しい、みうらじゅんが泣いて喜びそうなエログロナンセンスな展示のオンパレードです。秘宝館にはつきものの、巨大チ○コももちろんありました(ここが記念撮影スポット)。
こういうの見ていると、セックスってロマンチックでも何でもなくて、実に滑稽な作業なのだなあと思いますが、それは穿った見方でしょうか。

AMS6.JPG - 37,001BYTES とりあえずこんなんばっか(これはケーキ)。オートマティックでコートの前が全開する、露出狂人形というのもあった。

こんなもんばっかり見ていたせいか、もはや街なかにある普通の石柱やたたんだパラソルまでがチ○コに見えてしまう始末…困ったな(困ってんのか?)。
そうそう、お土産物屋も他の都市とはひと味違って、チ○コキャンディーやチョコレート、ポストカードもそのものズバリなものから装飾を施したものまで実にバラエティに富んでいます。しかしこれでいくと、アムステルダムの名物はチ○コということになってしまうのでは…?
さらに、大麻も堂々とTシャツやパンツや靴下の柄に使用され、すっかりアムステルダムの顔になっています(笑)。何というパンク精神に貫かれた国。天晴れです。
にしても、ベアトリックス女王は如何思し召されているのでせうか…。

さて、旅に出る前、わたしは、ドラッグだけはやるまいと心に決めていました。
ドラッグに付随する特有のだる〜い
雰囲気が苦手で、やっている人たちも旅先だから何をしてもいいと思っていそうな気がして(偏見かな)、自分もそういう風になってしまうのがイヤだったのです。
しかし、アムステルダム最後の晩、ついにコーヒーショップへ行ってしまいました。
何かね、もうネタです。ネタのため。このホームページの、と云うよりこの旅のネタ。合法だからいいか、っていうのもありました。

しかしもちろん1人で入る勇気はなく、大体やり方も分からないので、どっかに気だるそうな日本人男子はいないかなー、と目を皿のようにして探しました。と云うのも"気だるい雰囲気の日本人男子旅行者は100%の確率でコーヒーショップに行っている"からです(断言)。
そうしたら、ついに最終日の夕方、YHのロビーで束で発見しましたよ(笑)。
YHで同室だった女性(日本人。会社を休んで2週間の旅行)が彼らと行動をともにしていたので、「あら、こんにちはー。わたしもお話に加わっていいですかー?」などと何気なく近寄り、話を聞いてみるとやっぱり(笑)そうでした。どうやらYH近くのお店を根城にしているようで、渡りに船とばかりのこのこと付いていったわけです。

さて、その味、効き目のほどはと云うと…。
かなり警戒しながら吸っていたせいか、特にこれという効果は感じませんでした。でも、最初の方は何やら心臓の動機が若干激しくなったような気がした。気のせいか?味とかも別に…タバコと混ぜたやつとかはタバコの味と全然変わらないし。
一緒にいた男子の1人は「後に引かないし酒なんかより全っ然いいっすよ。てか、身体にいいですよコレは」と力説していました。
そうなのかなあ?よく分かりません。だったら全世界で解禁にすればいいのにね。
でもオランダ以外の国が禁止している(マレーシアでは死刑)ということは、それなりの理由があるんじゃないの?

ちなみにコーヒーショップってそれ専門かと思っていましたが、コーヒーもちゃんと飲めます。て云うか、何も飲まないでガンジャだけ吸っているっていうのは失礼なんだそうで。
さらに、ガンジャはみんなで回して飲むもののようで、Aさんから回ってきたのを吸って次はBさんに渡すというのが暗黙の了解になっています。こんなこといちいち書いているわたしって、いかに無知な人間か、って感じですね…。

わたしはガンジャそのものの効果なんかより、吸っている人々の方がよっぽど興味深かった。
何でこんなにだる〜い感じなんだろう。この人たちの目って今何が映っているんだろう。
彼らは毎日こうしてここでガンジャを吸っているわけで、下手したら何にもせずにそれだけだったりするわけで(何にもしてないのに今日1日で50ユーロ消えたって人がいたなあ)…それってどういう1日でどういう時間なんでしょうか?ずっと何かを考えているのでしょうか?
わたしと同室の女性(彼女も吸うのは初めてだった)のほかに日本人男子が4名いましたが、その内3名はインド経験者でした。インド旅行者って何となくこういう人多いような気がするのはわたしだけでしょうか。何かをあきらめているような、何かがごっそり抜け落ちているような…。

余談ですが、「身体にいいっすよ」と云っていた男の子はやたら前向きな性格で、何でも経験することはいいことだ、と信じているようでした。
彼の方程式で行くと、何事も経験してみなければ分からない→だからガンジャも吸ってみなければいいか悪いか分からない→吸ってみるとよかったので吸っている、という風になります。
経験はすべての免罪符になるのでしょうか。自分で経験しなければすべては真実にはなりえないのでしょうか。
別にガンジャ程度(?)のことではどうということもありませんが、同室の女性に「きっと色々経験してきてるんやろうなって感じがする」などと妙に感心した口調で云っている(どういう文脈でそういうことを云うのか、ワケわからん)のを聞くと、経験が人間性やすべてのことを決めるとでも思っていそうで、何だかイヤな感じがしたのです。そんなもんなのか、いやそうじゃないはずだ…と1人勝手にぐるぐると考えてしまいました。
まあ、かく云うわたしだって、経験という免罪符を頼りにこの旅を続けているわけなので、エラソーなことは云えませんが。

何だか全然脈絡がなくなってきました…これって「キマってる」証拠なんでしょうか?
なんて、もちろん冗談です。(「キマってる」というのはガンジャがてき面に効いているという状態を指すギョーカイ用語…らしい。ヘンなの〜)

AMS28.JPG - 44,304BYTES 閉店前のコーヒーショップ。

(2002年5月29日 アムステルダム)

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