旅先風信16「ドイツ」


先風信 vol.16

 


 

**ライン川の花火**

 

美味しいごはんと楽しい話し相手。
光のいっぱい入る、明るく快適な部屋で、日本の雑誌(『MOE』が意外に面白かった)やマンガを読み散らかして、だらだらとホームページを書いて。気が向いたら街に出て、散歩して。テレビ見て。昼近くまで寝て。

おなじみ(?)デュッセルドルフのKさん宅に戻ってきたわたしの生活は、このようにまるっきりぐうたらであります。
メシも作ってもらっているもので…てめーはヒモか?
昼間、Kさんが学校に行っている間、しこしことホームページをしたためていると、自分がまるで作家志望の無職男にでもなったような気がしてなりませんでした(苦笑)。
せめてメシくらいは作らねばっ、と奮起したものの、普段やっていないことは出来ないもので、1人でスーパーに買い物に行った時点ですでに途方に暮れているというありさま。我ながら本当に役に立ちません(親子丼を作ろうと思って鳥をまるごと1匹買ったら、スープのだし用だったというマヌケぶり…)。
こんな奴を文句も云わず置いてくれているKさんは本当に殊勝な人です

FANTASIA2.JPG Kさんとお友達のヨアンナと一緒に行った「ファンタジア・ランド」なる遊園地。ちなみにここで乗ったフリーフォールは、寿命が3年縮んだんじゃねーかってくらい、コワかった。。。

しかし、だらだらしつつも、ふいに「はっ、わたしってもしかして(もしかしなくても)旅人だったのでは?」と思い出す瞬間がないわけではありません。

いつものように安酒をちびちびやりながら(あんたらはオッサンか?)Kさんと話しているとき、何故かスナフキンの話題になりました。
わたしは実は、ムーミンはカバだと思っていた大馬鹿者なので、ムーミンの話自体もよく知らないのですが、Kさんが「ムーミンがスナフキンに『行かないで。もし行くのなら僕もついて行く』って云ってムーミンパパ&ママにも許可をもらうんだけど、スナフキンは『ダメだよ。僕は一人になるために旅をしているんだ。春になったらまた会えるじゃないか」と答える場面があって…云々」という話をしてくれて
、突如目からウロコが落ちました。
そう、これこそが旅人、スナフキンこそがわたしのあるべき姿だったのです(釣りはしないけどね)。

発たなければ。1人にならなければ。だってわたしは旅人なんだもの(笑)。
結局8日も居座ったけれど、ようやく重い腰を上げてオランダに発つことにしました。

いよいよデュッセルドルフ最後の日、わたしはKさんと彼女のクラスメイトたちと、花火を見に行きました。
え?ドイツで花火?と思われるかも知れませんが、この日は偶然にも年に一度の日本デーで、野外ステージでは盆踊りが披露されるわ、鎧は売ってるわ…こんなところで鎧かぶとを装着したドイツ人に出会おうとはオドロキです。そしてその締めくくりがライン川河川敷での花火大会だったのです。

河川敷は人人人であふれかえっていました。
Kさんのクラスメートは実に多国籍で(バースの学校とは大違い)、この日はチェコ人、イタリア人、トルコ人2名、中国人、コソボ人(と云うのかな?)、そしてわれわれ日本人2名という構成。トルコ人のギョクハンはみんなにビールをおごってくれました。
こちらは10時頃まで明るいのでなかなか花火は
上がりませんでしたが、完全に闇が下りると遠くの方でおなじみの爆発音が響き始めました。

ヨーロッパにも花火という文化はあるのでしょうか。
しかし、どちらにせよ、われわれ日本人にとっては、花火こそは最も日本の夏を連想させる風物詩です。
まる9ヶ月ドイツ暮らしのKさんは、しきりに「日本に帰りたいなあ」とつぶやいていました。
わたしはまだそこまで日本を懐かしくは思えませんが
、日本の文化ってやっぱりいいもんだなあ、と、日本を出てから幾度となく感じたことをまた感じました。もちろんまだまだ帰る気はありませんけどね。
隣でコソボ人のバキアが「コソボだったら本物の花火(つまりドンパチ)が見えるよ」と、あくまで明るく云っていたのがひどく印象的でした。

DUSSEL1.JPG - 36,336BYTES ライン川に上がる日本の風物。

さて、花火も終わり、すっかり夜も更けてからアルバート(みなさん覚えていますか?)がお家にやって来ました。
わたしが今日で最後だからなのでしょうか、事前に「サプライズがあるから楽しみにしてて♪」と云っていたので、Kさんとあれこれ予想を立てていたのですが…。

そのサプライズとは…ストリップショー(アル君オリジナル)でした(笑)。
白衣(※彼の仕事は化学系)にワイシャツ、ネクタイまで締めて、何やらエリート研究者のような出で立ちで現れたかと思うと、おもむろに持参したCDをかけくねくねと踊り始めました。Kさんとわたし、唖然…。しかしアルバートは、ほら、とか云いながらわれわれに服を脱がさせるサービスっぷり(?)。しまいにパン一になってしまいました(さすがにパンツは脱がなかったけど)。
「選曲には苦労したぞ」って、何をやってるんやあんたは…。
Kさんは「一体何なのよこの人!?!」と完全にあきれ返っていました。

でも、こういうのが明るく出来るのってやっぱり外人(外人って…)ならでは、という気がしましたね。
これ日本の男の子がやったら…退いただろうなあ。と云うより多分ほとんどの人にはムリでしょう。いや、別に出来なくていいんですが(笑)。「カタロニアではノーマルなの」と聞いたら、それは違うと云っていましたし…って、そりゃそうか。

そんなわけで花火もすっかり消し飛んでしまうようなアルバートのストリップショーによって、最後の夜は更けてゆきましたとさ…めでたしめでたし(なのかっ?)。

(2002年5月25日 デュッセルドルフ)

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