旅先風信138「インド」


先風信 vol.138

 


 

**キレる女**

 

最近のわたくしの悩み。
それは…最近キレすぎとちゃうんかい?!ってことです。これが妙齢の女子の悩みとはな…。日本で普通に働いている20代後半のOLが、「最近あたし、見境なくキレてしまうのよねえ」「あたしも〜」なんて会話が、会社の女子トイレで行われるでしょうか?多分ないよね…。
こんなんでは、マジで嫁に行けない…。というか、人としてどうなんだ…。
苦悶のあまり、夜も眠れない今日この頃(ウソ、毎日8時間くらい寝ています♪)。

ここしばらくを思い出してもみよう。遅くとも、ラジャスタンに入ってから。
最初に訪れたのはジャイプル。通称ピンクシティ。間違っても“ピンク街”とは訳さないよう、お願い申し上げます。
何でピンクシティかっていうと、市の条例によって、建物が全部ピンク系の色に塗られているのです(どんな条例なんだ)。ピンク色好きとしてはうれしい景観ですが、特にむらむらしたりはしません。かと云ってほのぼのもしません。人と牛とリキシャが、異様に多すぎるので…。でも活気があって(ありすぎかも?)、ラッシーが劇的に美味しくて、おみやげもキラキラしたものが多くて嬉しい。

普通の家も店舗も…建物全部ピンク色。

見どころは、マハラジャの邸宅と風の宮殿とアンベール城。すべて入場料がかかるので、マハラジャの邸宅はあきらめ、後者2つを取りました。
風の宮殿は、ジャイプルの観光写真には必ず登場する街のシンボル的スポット。普段は深窓に暮らすマハラジャの奥方たちが街を見るために造られた建物だそうです。外から見るとたいそう美しいのですが、入場料払って中に入ると、実は華美なのは表だけのハリボテだということが、まざまざと分かります…ちょっと悲しい瞬間です。

という街の説明はここら辺で置いといて。
ジャイプルに着いたとき…そう、あの日は早朝アーグラーを出て、バスに揺られて6時間。昼の暑さ真っ盛りのときに到着したのでしたっけ…。
いつものように『歩き方』を見てホテルを探し歩いていました。ジャイプルの宿紹介は、けっこうそそるものが多く、アーグラーで宿に恵まれなかった分をここで取り返そうと、鼻息も荒かったのです。

ところが…『歩き方』の地図の縮尺…これは本当に正しいのか?!
いい感じの安宿はバスターミナルの方に集中しているので、その辺りを目指して歩いていたのですが…この縮尺が正しければ、鉄道駅とバスターミナルは1キロに満たないはず…ならば、とっくに着いているはずなんだが? わたしは方向音痴ではないし、地図もちゃんと読めるのに?手当たり次第に、その辺のインド人に尋ねると、「バスターミナル?遠いぞ」とか「俺のリキシャで行け、20ルピーだ」とか云うので、またそんなウソばっかり!と聞く耳を持てず、ひたすら地図と格闘して、あらぬ方向を行ったり来たりしていました。

そうしてさまよっているうちに、またも荷物がこなきじじい化してきました。
一歩歩くごとに、肩に食い込んで食い破りそうな勢い…。気が狂いそうなくらい重い…。“話好きで優しいおじいちゃんのいる宿”や、”部屋の床が大理石でプールも付いている宿”で、早くこの疲れた身体を癒したい…。でも、でも、それらは一体いずこに!?

そして、40分くらいが経過したでしょうか…。
体力も精神力もMP(マジックパワー)も、限界に近づいていました。今ここで全てを投げ出して遠い世界に行ってしまいたい状態のところに、客引きだか通行人だかの兄ちゃんが、「ホテルを探してるのか?それなら、僕の友達のやっている宿が近くにあるぞ」と話しかけてきました。
わたしは相当気が立っていました。
「近く?近くってどのくらいなの!?」
「歩いて2分だよ」
もうこれは決めるしかない。この際、安くて近けりゃ何でもいい。2分なら何とか死なずにたどり着けるだろう…(いつも大げさ)。

ところが、歩けど歩けど、兄ちゃんのいう“ホテル”は見えません。疲労とイライラはすでに限界に達していました。
「ちょっとあんたっ、2分って云ったでしょ!?すでに何分歩いてると思ってんの!?ホテルはどこにあんのよ!あんた、騙してんじゃないでしょうね!?」と激昂するわたしに、
「どうして君はそんなに怒ってるんだ?」と素朴な声で云う兄い。
わたしは興奮のあまり涙を流しながら、
「あたしは頭がおかしいんだよ!ビョーキなんだよ!」
と云ってまたさらに泣きました。いったい誰に、何を怒っているのか、自分でもさっぱり分からずに…。

結局15分くらい歩いたのち、ようやくホテルに到着。部屋を確保し、汗でベタベタになった身体をベッドに投げ出すと、少しずつ人心地がついてきました。
そして、さっきまでのぐちゃぐちゃな1時間を思い出し、背筋がすうっと寒くなってきました。
“何だ…何でわたしはあんなに怒ってたんだ…。”
てんかんじゃないけれど、何かちょっと、やばい発作じゃないのか…。脳のどっかがイカれてんじゃないのか…。だって、あんな怒ることじゃないだろうよ…。
生理前だからか?確かに、生理が近づいてくると、何となく鬱になったり、怒りっぽくなったりと情緒不安定気味になることはあるけれども…。

写真で見たことがある人も多いのでは…風の宮殿。

思い起こせば、先だってのジャイサルメールでも、ばっちりやらかしているのです。
キャメルツアーでキレていたのは、わたしではなくてイスラエリー夫婦でしたが、わたくしめもジャイサルを出る前夜、宿の男に軽くキレたのでありました。
その話は前回分をご参照いただくとして、まだ続きがあるんだよ…トホホなことに。

事の発端…という程でもないけれど、昨夜ケンカしたホテルの兄いが、バス停までは徒歩10分だからリキシャなんていらねーよ、とテキトーな発言をしたことが、ボタンの掛け違いの始まりでした。
明らかにボッタクリだろうという値段のオートリキシャを振り払って、通行人に尋ねながらバス停に向かうのですが……着かねえ。10分どころか、20分以上とっくに歩いてるよ。荷物を持っているからしゃあないとは云っても、明らかに歩きすぎている。
ようやく、2、3台バスの停まっている場所が見えたので「ここか?」と思ったら、「エアフォースサークル?(※昨日メモってもらったバス停の名前)ここから2キロだぞ
あああん?2キロだとーーー!?!バスは7時発、すでに時刻は6時57分…どう考えても間に合わねーだろーが!!!わたしはすっかりパニクり、大げさな身振り手振りそして涙も交えて、時間がないことを周囲に猛烈にアピールしまくりました。
すると、その中にいたオートリキシャーが、「大丈夫だ、オレに任せろ」とかいう感じで登場したので、わたしは、ワラを掴む思いでそのオートに乗りました。
しかし…着いたところは、さっきわたしが通って来た場所じゃないか。ここだったらオールドフォートから、10分は無理でも、20分歩けば来れたのでは…。さっきの2キロって何なの?2キロもないだろここ!?
ホントにこの場所なのか?と激しく疑いましたが、チケットオフィスがあり、チケットを見せるとどうやらここで合っているらしい…何なんだ。

そして、オートに金を払う段になると、「10ルピー」。…あのねえ。5分も走ってないじゃん。何で10ルピーもすんだよっ!?
「この距離だったら、5ルピーじゃないのー?」
「いや、10ルピーだ」
「何でっ!オールドフォートからここまでで10ルピーなんだよ?!」
「いんや、10ルピー」
毎度のこととは云え、この争い…。それまでの疲労と焦りが、わたしの心の余裕を完全に奪っていました。わたしは、このたかが5ルピー=12円くらいのために、オートの運転手とさんざんやり合い、ついには涙まで流して、5ルピーで納得させました。

ジャイプル・アンベール城の鏡の間。細かいモザイク模様が見事。

やっとのことで、バスに乗り込もうとしたら、「おいおい待て待て。荷物代をもらおうか。10ルピーな」。
はああ?何じゃ荷物代って?これまでのインドでの移動で、そんなもん、見たことも聞いたこともないんですけど!?
「何でそんなもん払わなきゃいけないの?今までそんなこと、いっぺんもなかったよ!」
「たったの10ルピーだよ。10ルピー。」
「やだよ。どうせあんたのポケットに入るんでしょ!」
「決まりなんだよ。さっさと払えよ」
絶対にイヤでした。こんなガラ空きのバスで、何ゆえ荷物代が必要なのでしょうか。
断固払わない姿勢でいると、
「そーいやこいつ、さっきもオートに向かって『5ルピー5ルピー』ってバカみたいに叫んでたもんな。きっと頭がおかしいんだな。ケケケケ」とそいつが云うと(しかもジェスチャーつきで)、周りのインド人たちも同調して、ゲラゲラ笑いました。
…これで、わたしのぶち切れボーダーはあっさり決壊しました。
その後、わたしは何と云ってつっかかって行ったのか、はっきりと記憶がありません。記憶がないくらい、わめき散らしていたみたいです。そして結局、10ルピーは払いませんでした。

10ルピーなんぞ、25円くらいのもんです。
でも、郷に入れば郷に従えで、日本円に換算して考えられない。金の価値が、インド人と同じ感覚になってしまうのです。昔どこかで会った旅人が、「ルピーモード」という言葉でそれを表していました。つまり、自分の国でははした金に過ぎない数ルピーが、インドを旅しているとそれなりのお金に思えてしまうということですね。
現地の人に倣って、同じものを食べ、ローカルバスで移動し…という旅は、バックパッカーの基本ですが、果たしてそれは正しいやり方なのだろうか?どう考えたって、リキシャの運転手やみやげもの売りよりも自分の方が金を持っているというのに?それも、先進国と途上国の経済格差という、たまたま先進国に生まれたというだけのラッキーを利用して旅している身分なのに…。

…なんてことは、キレているときは、まったく頭にありませんです。はい。

次の地ジョードプル、通称ブルーシティには、2日しか滞在しなかったので、さすがに何ごともなく町を出る…つもりが、軽くひと揉めありました。
ジョードプル自体は美しい町で、“青い町”の名の通り、蚊除けのために青色に塗られたという家々がマッチ箱のようにひしめきあっています。町のシンボル・メヘランガール城砦の上から見るその光景は圧巻の一言です。夜の市場の賑わいをひやかしたり、入り組んだ路地を歩くだけでも楽しく、独特の風情を感じられる町でした。
町の中心・時計台広場の近くにある、名物サフランラッシーに屋台オムレツも堪能し、「もう1泊してもいいかなー…」なんて思うくらい、お気に入りの町リストに入りそうな勢いでした。

やわらかいブルーの街角。

夜行バスでジョードプルを発つので、バスターミナルへのオートリキシャを探している道すがらでした。
例によってバックパックやらサブバッグを罪人風に背負い、よちよちと歩いていたのですが、10歳くらいのガキ2人が「ワット カントリー?(どっから来たの?)」と、いつもの質問が飛んで来たので、にこやかに「ジャパンだよ、坊や」と答えたところ、
「ジャパン イズ スチューピッド カントリー!」だとよ!!!
わたしの形相は、中国・四川の川劇(※次々と仮面が変わる劇)のごとく、一瞬で仏から鬼へと変わり、ガキの首根っこを捕まえた…かったのですが、荷物を背負っているのでダッシュ出来なかった…くそっ。ガキは、わたしが鬼の面に変わった瞬間、ぴゅーーーっと走って逃げていったのでした。

たかがガキの戯言と云ってしまえばそうなのですが、わたしは大人気ない人間なので、ムカついてしょうがありません。
大体なあ、ガキとかそういう以前に、普通そういうことを云うか!?あのモロッコ、エチオピアでもそれは云われたことねーぞ!?
その言葉を吐かれる以前に、揉めていたりケンカしていたのなら、捨てゼリフかと認めることも出来よう。しかし、通りすがりのいきなりであの罵声…ああ、書いているだけでまたフツフツと怒りが…。

メヘランガール城砦から見る”ブルーシティ”。

そして、ウダイプル。通称ホワイトシティ。
ジャイプル、ジョードプル、ウダイプルのラジャスタンの三都市は、ピンク、ブルー、ホワイトな町でそれぞれ名を馳せているのです。わたしはこういうイカした(?)キャッチコピーに弱いので、もちろん全制覇しなければ気がすみません。
いずれもマハラジャの築いた町ということで、必ずマハラジャの宮殿が重要観光スポットになっているのですが、ウダイプルの「シティ・パレス」はその中でも、特に有名で美しいとされています。観光用に開放されている「シティ・パレス」併設のホテル以外に、湖に浮かぶ宮殿「レイク・パレス」が、超一流ホテルとして世界に名を轟かせています。以上、役に立つ豆知識でしたが、旅行記を進める上では何の関係もありません。

ホワイトシティは、先の“ピンク”“ブルー”に比べると、やや地味でインパクトに欠けます。何しろ、世界には“白い町”と呼ばれている町、白いことで有名な町がゴマンと(でもないが)あるのですから。ミコノス島とか、スペイン南部にいくつかある白い町の方が、白純度は高そうです。
しかも、「シティ・パレス」と「レイク・パレス」の間に横たわるピチョラー湖が、乾季のため干上がっており、全然美しくない…むうう。

ウダイプルの象徴、シティ・パレス。

まあそれでも、観光がてらのんびりと散歩しておりますと、まーた、アホなガキが攻撃してきやがったのです。。。
「韓国人、ノーグッド!!!」
…おいこら。ふざけんなよ。わたしは韓国人じゃなくて日本人だ!…ってことはこの際どうでもいい。要するにキミタチはわたしをバカにしているってことだよね♪
「こらクソガキ!今何て云った?!」
わたしは、胸倉掴まんばかりの勢いで詰め寄りました。ジョードプルでは時間がなくて応戦出来なかったけど、今日はとことん戦ったるで!と拳を固めると、バカ少年は、
「あんたに云ったんじゃないよ♪」と、ナメくさった言い訳をしらっと抜かしやがりました。今ここにいる人間で最も韓国人に近い生物は、どう考えてもわたしじゃねーかよ!
「よくもしゃあしゃあと…大体なあ、そういう失礼なことを人に云うのが問題なんだよコラ!わたしはコリアンじゃないけど、コリアンだったらどーすんだよ!?」
「ソーリーソーリー」
少年は、へらへら笑いながら逃げようとします。「ソーリー」と云いながら、明らかに心の中で舌を出している態度は、わたしの怒りにさらに油を注ぎました。
近くにいた仲間のガキも、顔に嘲笑を浮かべてこっちを見ていた(よーな気がした)ので、「おまえ、何笑ってんだ!?」とどつき回し、「二度とそういう口叩くんじゃねーぞ!」と捨て台詞を吐いて立ち去りました。
でもどうせこいつら、わたしがいなくなった後で、「だからノーグッドなんだよ、ケケケ」とか云ってせせら笑っているんだろう…。

…というわけで、“一都市一キレ”状態の暴れザルと化している、昨今のわたくしなのでした。あああ、自分で書いてて自分がコワい…。
後者2件はともかく、ジャイプルとジャイサルのキレ方は、冷静になって振り返ると、自分でも意味が分かりません。何か取り憑いてるんじゃないのか…。いや、わりとマジで心配…。
ジャイサルでオートと揉めた差額なんて、たったの5ルピーなのです。5ルピーって云ったら、チャイが2杯飲めるだけの値段…泣いてまで死守するほどのモノなのかよ!?
荷物代にしたって10ルピー。まあこれは、払わなくていい金だと今も思うけれど、それで記憶がなくなるまでブチ切れるわたしって…やっぱり頭がおかしいかも。

キレる子供、というのが一時期日本で話題になっていましたよね。
すげえつまんないことでカッとなって、人殺しちゃったり、ケガさせちゃったりするっていう…。
わたしはキレているとき、さすがに相手を殺そうとは思わないけれど、自分でも本当にわけ分かんなくなって、理性も何も吹っ飛んで、完全に錯乱状態に陥ってしまうみたいです。途中から冷静になって、「何でわたし、こんなに暴れているんだろう?」と我に返るんですけど、一度キレると引っ込みがつかなくなってしまって…。キレる子供のことを笑えないです。キレる大人だから、余計にタチが悪いな…。

白い町・白い寺院(中央)。

しかし、インド人もまたインド人で、何かこう、人をイラつかせる何か(オーラ?)があるんだよなあ…。
わたしみたいなキレやすい人はともかく、めったにキレることのない温厚な旅人をして、平気でキレさせてしまう土地柄(?)ですからねえ…。
思うに、インド人はどうもアジア人全般を低く見ている気がするのです。って、あんたらもアジアだろー!と思うんだけど…でもなに、オレたちはアーリア人系でルーツは白人と一緒だってか?じゃあその白人に差別されてたあんたらって一体?・・・おっと、つい暴力的な表現に(苦笑)。

無論、例えば通りすがりに握手を求めてきて、手を握り返すと喜んでくれるような素朴な人々もいます。しかし、それと同じくらい、バカにしている奴らもいます…おそらく。
ジョードプルで、「日本人はバカ」発言をされた後も、通りすがりのヒマそーな少年たちに「チンチャンチンチャン♪」と云われ、先の件で相当ハラワタが煮えくり返っていたわたしは、「あんた!今何て云ったワケ!?」とつっかかって行きました。そうしたら、「いや、別に…もごもご」と口ごもり、この小心者が!と思いましたが、その目は明らかにこちらをバカにしているのでした。
しっかし“チンチャン”って、何度聞いても胸糞悪い言葉だよなあ…。
アフリカにいるとき、黒人は白人から長いこと差別を受けてきて差別の痛みが分かっているはずなのに、平気で「チャイナーチャイナー」と中国人を揶揄するのは、いったい何なのだ?と憤りを覚えていましたっけ。この人たちの頭の中では、白人>黒人>アジア人という不等式が出来上がっているのか?と。差別が新しい差別を生む典型のような図式ですね。

さて、ここまでの話の流れからすると、かなり付け足しっぽくなるのですが、ウダイプルでは、ディワーリのお祭りがありました。
ディワーリとは、インド三大祭のひとつで、美貌の女神・ラクシュミーを祀るお祭りです。別名“ローソク祭り”とも云われ、町じゅうで人々が互いにローソクを垂らし合って鞭をふるう祭りではなく、家の玄関にローソクを灯して女神を招くという祭りです。ウダイプルの白い建物群に、オレンジ色の素朴な光がよく映えて、ロマンチックな光景です。
町の中心部にある、ラクシュミーを祀った寺には、お参りをする人々で長蛇の列ができています。赤やピンク、黄緑といった鮮やかな色のサリーをまとった女性たちが連なるさまは、まるで宝石を繋いだ首飾りのようです。

ディワーリで1枚。電飾とサリーが組み合わさって、何ともきらびやか。

宿に帰る道すがら、家の玄関前に描かれているお祭り用の絵が可愛らしくて、しばし立ち止まって見入っていたら、家のご主人が出てきて、「それ気に入ったかい?」
「すごくキレイですね」
「家の中にもいっぱい描いてあるから、見て行くかい?」
祭りの高揚した雰囲気に乗せられるように、わたしは素直に家にお邪魔しました。家には奥さんと子供たちがいました。ご主人以外は英語を話せなかったのだけど、デジカメで写真を撮って見せるとキャアキャアはしゃいで、わたしがお祭りの絵を「かわいーねー」と誉めまくると、「こっちもあるよ♪」と手を引いて新しいのを見せてくれたり、何だかやけにほのぼのとしたひとときを過ごしたのでした。

いつも、どんな土地に行ってもこんな風に、現地の人と接することができたらいいのにな…。
そりゃあ、世の中にはいい人ばっかりがいるわけじゃないし、長旅していれば、痛い目にも遭うしムカツクこともある。怒んなきゃいけないときだってある。
でも、キレると心身ともに相当消耗するし、「あーあ、またやってしまった…」って後悔するんだよなあ…。何だろう、“出来心でマッチを擦ったら大火事になってしまった”というような、“自分の意思とは無関係に変身してしまった特撮ヒーロー”のような、後味の悪さ、脱力感。ちょっと喩えがヘンですが…。
嫌というほどそれを分かっていながら…明日もまた、いきなりキレてしまいそうな自分が、かなり本気で怖いです。

ジョードプル。夜の商店街は活気があって楽しい。

(2004年11月13日 ウダイプル)

ICONMARUP1.GIF - 108BYTES 画面TOPINDEXHOME ICONMARUP1.GIF - 108BYTES







inserted by FC2 system