旅先風信1「ポーランド」


先風信 vol.1

 


 

**一人になった日**

 

みなさま、ごきげんよう。先日遅まきながらアップした長たらしい日記はお読みいただけたでせうか?まだ始まったばかりで何なのですが、今回から日記ではなくこのようなつれづれ便りにすることにしました。
特に誰宛というのでもなく、これを読んでくれているであろう幾人かの友人知人に、或いは自分自身に…筆の赴くままに書いてみようと思います。
と云うのも、前の日記を書いてみて分かったことは、日記を書くという作業が予想以上に労力のかかるものであると身に沁みたからです。大体、生まれてこの方、1ヶ月以上日記を続けたことがないのですから無理もありませんね。

KOLN.JPG - 55,173BYTES ケルン大聖堂(世界遺産)。

さて、前置きはこのくらいにして、今わたしがどこにいるかと云うと、デュッセルドルフのKさん宅ではなくて、ポーランドはクラコフという街のユースホステルです。夕方になると非常に薄暗く、お世辞にもキレイとは云えない上、女子ばかりの6人部屋。他は全員欧米人です。昨日までのKさん宅での生活が如何に恵まれていたかを痛感するひとときです。

Kさんとアルバート、そしてわたしという奇妙な3人組のアルチュン旅行の顛末は先日の日記に書いたとおりです。その後は再びKさん宅で、美味しいご飯を食べさせてもらいながらのんびりと暮らしていました。一人でケルン大聖堂(世界遺産)に行ったり、ドイツのユニクロ(?)「H&M」で買い物したり、Kさんと連れ立って散髪に行ったら二人とも大変な頭になってしまったり、はたまたアルバートと妹のミレイア(カッコイイ名前!)がKさん宅にやって来てみんなでささやかな寿司パーティーをしたりと、色々なことがありつつ、また夜な夜なくだらない話に興じてKさん曰く「毎晩修学旅行みたい」に過ごしていた日々でした。

SUSIPARTY.JPG - 51,484BYTES ドイツで何故か寿司パーティ。

しかし、曲がりなりにも放浪の旅に出たのですから、いかに居心地がよいからと云ってこんなに早く沈没していては先がありません。怠けたい自分にムチ打って、ようやく次なる地、ポーランドへとやって来たわけです。

にしても、この侘しさときたら。何がつらいって、ホテルがボロいことです。そんなの、今までの旅で何度も経験してきたことなのに、一体どうしたのでしょう。昨日からえんえん20時間もバスに揺られ、ポーランドに入るなり道路が何故かボコになっていて真夜中の一番寝たい時間にバスが激しく振動し続けたおかげで一睡もできず(振動のせいと云うよりパソコンが心配で心配で…)、今日は今日とてユースの受付が夕方5時からしか開かないというのでそれまでクラコフの街を、地図も目的もなく歩き倒し、やっとチェックインできたと思ったら、全く落ち着けないこの薄暗い6人部屋…。
アルバートのおかげで(?)、外人男子には少しだけ慣れたのですけど、女子は未だに苦手。部屋のノックがあるたびに意味もなくビクッとしてしまいます。て云うかねえ、せめて部屋のカギは1人1つ持たせてほしいっすよ。ミュンヘンのユースは、デポジットは取られたものの、各自でカギが持てた上に貴重品ロッカーまでついていたと云うのに。
さらに不満なのは、コンセントがないこと。これではパソの充電すらできません。受付のねーちゃんは超無愛想だし、ベットは狭くて固いし、毛布に穴は空いてるし、『ヨーロッパ2000円の宿』によると「水回りが汚く、シャワーは湯が出ない」…って、ここはインドですか?!

これなら多少高くて汚くても、個室を探すべきだったかも…。でもこんなときに限って客引きもあんまり寄ってこないんですよね。こんなところに3泊もしなければならないのですから、本気で胃に穴が空きそうです。何故3泊も(もしかしたら4泊)せねばならないのかと云うと、実は今こちらでは、イースター(復活祭)の真っ最中でして、ここに来た最大にしてほぼ唯一の目的であるアウシュビッツがお休みだからです。よく下調べもせずに慌ててチケットを取るからこういう憂き目に遭うのですね。本当にアホです。

ところで、下調べと云えばガイドブック。わたしは男前にも(※自嘲です)『地球の歩き方 ヨーロッパ』と『ヨーロッパ2000円の宿』、歩き方のチェコ&ポーランド編のコピー数枚しか持って来ていません。このことをわたしは今、かなり後悔しています。
「ガイドブックなんてなくても旅はできる」という云い伝えがありますが、確かになくても旅はできるでしょう。でも、今見ているこの教会はどういう教会なのか、ここの名物料理は何なのか、いわゆる安宿はどこに集中しているのか……などなど、知らないよりは知っておいた方が快適な旅ができると思うのです。

KRAKOW-2.JPG - 37,446BYTES クラコフ・絵を売る露天商。

気の向くまま、足の向くまま、なんて響きはいいけれど、慣れない、言葉も分からない異国(英語の表記なんて最低限しかありません)で、そんなの上手くいくわけがありませんよね。今のわたしなんてまるで赤ちゃんです。電車もまともに乗れない(反対方向に行ってしまったり)し、看板だってロクに読めないし。まあ、色んなことを手探りで覚えていくのも旅の醍醐味と云えばそうかも知れませんけどね。でもリスクとロスが多すぎます。
長期旅行ではもちろん、行く国々の歩き方を全部持ってくるわけには行きませんが、せめてコピーはきちんと取って来るべきだったかなと…。今は仕方ないので、現地の土産物屋でガイドブックをこっそり立ち読みしてやり過ごしています。ちなみに、これもよく云われる「現地で『ロンリープラネット』を調達」という話ですが、今のところ、ドイツとチェコとポーランドではロンプラ見かけませんねえ。どこにあるんでしょうか???
あとは、まだ行ったことないんですけどインターネットカフェでしょうかね。クラコフでは1時間6ズウォティ(約180円)が相場のようです。一晩10ズウォティ(約300円)というところも発見したので、ここを引き払ってインターネットカフェで夜を明かそうかなんてまた不埒なことを考えたりしています。

何やらしょっぱならから愚痴っぽくなってしまいました。
少しは旅らしいことを書かなくてはいけませんよね。
えーと、クラコフの街は、『歩き方』のコピーには「ポーランドの京都」なんて書かれてあるところで、まあいわゆる古都ですね。城壁に囲まれた旧市街の街並は、確かに美しいけれど、プラハを見ている目には特に驚きもないのが複雑な気分です(すっかりプラハにいかれてますね)。でも、おそらく最大の見どころであるヴァヴェル城内のカセドラル(大聖堂)は、これまで見た教会の中でも一、二を争う壮麗さで見ごたえ充分でした。また、旧市街には多くの教会があり、今日はイースターなのでどこも美しく飾られ、花篭のようなものを下げた参拝者がひっきりなしに出入りしていました。
わたしもにわか信者になって祈りを捧げてみたかったのですが、十字架の切り方が分からないので止めました。

WAWEL.JPG - 43,290BYTES ヴァヴェル城の庭。背景に見えるのがゴーカな大聖堂。

次回はアウシュビッツの感想文になると思います。それではまた旅先のどこかからお会いしましょう。

(2002年3月30日 クラコフ)

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